スキーヤーは熱扉車の夢を見るか

「オープンカーで如何にしてスキーに行くか?」に挑戦してきたスキーヤーがたどりついたホットハッチ=熱扉車ライフ。

カテゴリ: クルマ

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ゴールデンウィークの中日、ちょっとだけGRヤリスでスキーに行ってきました。

GRヤリスはカーボンルーフであるためか純正のキャリアがありませんし、そもそも今時スキーを外積みするのも流行らないので中積みが前提です。
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画像のスキー板は169センチのツインチップスキーですが、後席を畳めば斜めに積めますし、私のシート位置ではさらに余裕があります。さすがに180センチを超えるGS用スキーは厳しそうなので、そこはシーズンに入ったら改めて検証したいと思います。

板を裸で積むと内装に傷がつくので、981ボクスター時代に自作したカバーを使いました。
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意気揚々でゲレンデに乗り込みましたが、ガスが濃くて視界ほぼゼロ。カッパは要らない程度ですが小雨も降っていたので早々に切り上げました。
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ハイシーズンになると、板の積載以外にも、スタッドレスの選定や、窓の雪を払うブラシなどの小物をどう積むか、ワイパーのウインターブレードをどうするかなどの課題があるので、シーズンが近づいたら考えたいと思います。


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持たないカーライフの間、しばらく縁が無かった車内小物をいろいろ交換、装着しました。
まずはエアコンフィルター。
販売店にクルマを見に行った時は特に車内の匂いは気にならなかったのですが、納車後に走り出した途端に「エアコンが臭え!」
根本的にはエアコン内部の清掃が必要ですが、自分でできることをまずやってみよう、とその足でオートバックスに寄ってBOSCHの最高級品を購入しました。(4500円くらい笑)
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店頭の適応表にGRヤリスは載ってませんでしたが、ネットで検索しAP-T10を選択。


交換手順も同梱の取説を読めば簡単です。車検の時によく交換を勧められますが、こんなの自分でやりましょう。
こちらが着いていたフィルター。画像拡大すると結構汚いです。恐る恐る匂いを嗅いでみると確かにちょっと臭い。
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交換後の新品。
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今のところ臭いは解消されたと感じますが、同乗者の妻は「鼻が詰まってるのでわからない」そうです。

USBシガーソケットアダプター
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私がディスプレイオーディオのUSBコネクターを使っていると妻がiPhoneを充電できないので増設。GRヤリスのシガーソケットは奥まったところにあり「挿さらない」と怒られないように、裏表どちらでも挿さるタイプにしました。
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セーフティハンマー
かつてバルケッタからボクスターに乗り換えた際、幌が電動になったので装備するようになりました。GRヤリスは屋根があるので当然必要になります。運転の邪魔にならず、運転席からも助手席からもすぐに手が届く場所として、センターコンソールの助手席側に装着。
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ゴミ袋を掛けるフック
かつては自分の車にゴミ箱は必ず装備していましたが、「タイムスのクルマみたいに、車内にゴミ袋をストックしておいて、その都度捨てればゴミ箱は要らないんじゃない?」との妻からの提案が正論すぎたので、レジ袋を引っ掛けるフックを取り付けました。
場所はセンターコンソール最後部にある使い道の無さそうな凹み。
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ここなら左右どちら側にも吊るすことが出来て便利(なはず)。
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次はオーディオに手を入れます。


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GRヤリスは登録の際、自宅マンション管理会社の不手際で車庫証明の取得にトラブルがあり、契約から納車まで時間がかかったのですが、その間の悶々とした気持ちをぶつけるためイラストを描いたりしていました。
そもそも描こうと思ったきっかけは「どうせヤリスなんだから、一見するとカーシェアやレンタカーみたいなステッカーを貼ると面白いのでは?」という思いつきでした。しかし私が考えるようなことはたいてい先に考える人がいて、「Times CAR SHARE」をもじった「This IS MY CAR」というステッカーがネットで話題になってました。


じゃあ俺はトヨタレンタカーで行こう、というわけで、クルマの走行ラインをモチーフにした「R」のロゴをドリフトさせて、そこにカウンターをあてたGRヤリスを描いたら面白いんじゃないかと。さらにアクリルキーホルダーにしたらいよいよレンタカーらしさが増してきました。
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イラストは扱いが小さいので、タイヤを大きくディフォルメした方がわかりやすいだろう、とか思っているうちにだんだん熱が入ってきてしまい、
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これ単品でもスペアキー用のキーホルダーにしてみました。
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裏面はGR車共通のグリルの六角形メッシュをモチーフにGRロゴをいれて純正っぽいイメージにしてます。

キーホルダーは早速使っていますが、ステッカーの方は各サイズ作ったものの、本当に貼るかどうかは考え中です。クルマ以外に貼るのもありですね。
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※各ロゴはトヨタやトヨタレンタリースの商標なので、私がこれらステッカーなどの現物やデータを配布することはありません。いや誰も欲しくないか(笑)。


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購入したGRヤリスは純正の18インチホイールにスタッドレスを履いている状態でした。「今年スタッドレス買わなくてすむかも」とか思ったのですが甘い考えで雪上で使える限界に近い摩耗具合でした。
このまま夏タイヤとして使うのは法律的には問題ないのですが、スタッドレスは一般的に(私の経験でも)ウエットグリップは期待できないので、安全第一で夏タイヤを買うことにしました。

私はクルマでスキーに行っていた時は走行距離のほとんどは冬に稼いでいましたし、クルマ本体も数年で買い替えていた(セリカは2年、レガシィは4年、バルケッタは7年)り、ボクスターは前後タイヤの消耗が違ったり(後輪は前輪の1.5倍消耗する)したので、夏タイヤを4本購入するのはバルケッタ以来だと思います。

ここ数年クルマ好きの間では韓国や中国の「アジアンタイヤ」が注目されています。当初は、価格は安いものの性能や耐久性に半信半疑で「人柱上等」という選択肢でしたが、徐々に評価を確かなものにしています。代表格の韓国のハンコックはモータースポーツにも力をいれており、種類のよってはピレリと同等くらいの価格になったりともはや定番の選択肢の一つと言えるでしょう。

今回私が購入したのはナンカン(台湾)のSpotsnex NS-25です。

メーカーとしては「プレミアムスポーツ」としていますが、そのわりにM+S、つまりオールシーズンタイヤともなっており、本当のところはどうなのか?今後感じ取っていきたいと思います。


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GRヤリスRS、納車されました。色はエモーショナルレッド(赤のメタリック)。妻が白はNGで私は黒がNGだったので、この色しか選択肢がないのですが、中古車の玉数が少なく苦労しました。また、前オーナーの好みでGRパーツのフルエアロが着いてます。私はあまりエアロ煩悩はない方なのですが、これはコレでカッコいいかもしれない。

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リアから見るとエアロどころか、4本出しのスポーツマフラーまで着いてます。私はマフラーが多いとか太いとか、いまどき排気ガスの出口を強調するのもどうかと思うし、そもそも3気筒なのに4本ってなんだよ!というタイプなので自分なら絶対着けないオプションですが、排気音は良いです。レンタカーで借りた時もこのクルマの数少ない欠点として「音と振動の質感のなさ」を上げてますが、

運転中に聞こえてくる音はだいぶ改善されてる気がします。
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黒ボディではパッとしなかったサイドビューも、赤だと黒いパーツとのコントラストがついて「特別感」が出ていいですね。ホイールは黒光沢でスポークが細いのが好みじゃないのですが、じゃあどんなのが良いか?と考え出すとなかなか難しいです。

これから心機一転、ホットハッチ(死語か?)ライフが始まるので、ブログタイトルとデザインも変えました。「熱扉車」はホットハッチの私の勝手な直訳で正式な中国語とかではないのであしからず。

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今回マイカーに復帰する理由の一つがスキーです。スキーは大きな荷物をたくさん積んで、長い距離を高い頻度で走行す事も多く、スキーヤーはスキーをする時間と同じくらい、場合によってはそれ以上の時間をクルマの中で過ごします。
商用車やライトバンは一見スキーとは関係ないようで、クルマの使われ方は通じるものがあります。

トヨタのプロボックスは、運転席でお弁当を食べるためのトレーが出てきたり、ドリンクホルダーに照明がついていたりとドライバー中心の工夫が盛り沢山です。


かたやホンダのN-VANは、小さなな積載空間を有効に使うためのシートアレンジが多彩で、かつそれを使うためのハンドルが目立つ色になっていたりと、やはり使う人中心の工夫が盛り沢山です。


営業マンやデリバリードライバーに優しいクルマはきっとスキーヤーにも優しいはずで、最高の相棒になりそうですが、商用車の見た目のままだと業者になっちゃうので、外観のカスタムは必須ですね。実際色々なカスタム例がネット上に溢れていて、かなり楽しそうです。





しかしながら、私は作るあてのないプラモデルを積み上げるようなタイプなので、いろいろ妄想を巡らせて「いつかやろう」と思いつつ、結局商用車のまま10年!とかなりそうです。
実際今まで自分のクルマのホイールを変えたこともエアロを着けたこともないんですから。


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「持たないカーライフ」になって、自分でも意外だったのは、オープンカーで走るあの爽快感への渇望が全然湧かなかったことです。あの体験は何にも代え難く、きっとまた味わいたくなるのでは?と思っていました。学生時代はスープラのエアロトップやMR2のTバールーフに憧れ、実際バルケッタから981ボクスターまで24年間もオープンカーに乗り、飽きることもなかったのですから。

もうひとつ、いわゆる「スポーツカーっぽいカタチ」もマストでなくなったのも意外でした。子供の頃スーパーカーの洗礼を受けた世代で、学生時代に流行していた2BOXの3ドアハッチバックにも物足りなさを感じていた私にとって、クルマはワイド&ローかつ流麗なスタイルでなければ、と強く信じていたはずなのですが。

オープンカーもスポーツカーも、そういったレッテルを自分に貼り付けるのに疲れちゃったのかもしれません。元々世間の目を気にするタイプじゃないつもりですが、やはり目立つクルマで下手な運転はできない、というのは意識していましたから。

この3年間は、燦然と輝く「タイムスカーシェア」とか「トヨタレンタカー」のステッカーを背負ってましたが、「シェアリングエコノミー信者」「レンタカーに乗ってる下手クソ」と見られるならそれはある意味で気が楽で、「フツーのクルマでいいや」と思うようになりました。

その一方で、やはりスポーツカー好きとして「運転するのは楽しい」という思いと、「ドアに窓枠があるのはダサい」という変なコダワリは燃えカスのように残っており、そんな複雑な思いをひっくるめた稀有なクルマがGRヤリス RSだったのでした。
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一昨年の佐渡島旅行で先代モデルを借りた時の印象がとてもよく、「これだけ走りが良ければ、実用性はカローラに任せてスタイリッシュに振ったら」と勝手に期待していたら、その通り、いやそれ以上にカッコよくなってデビューしましたね。


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カウンタックか!と思うほどのウエッジシェイプはスーパーカー世代にはたまらない物があります。黒のフェンダートリムもLP500Sっぽいし。
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ウエッジシェイプやモノフォルムが未来的なだけでなく、フェンダーの膨らみといったクラシックなクルマらしさもきちんと入れ込んでいてなかなか練られたスタイルだと思います。
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これもGRヤリスRS並に「2度と現れない」感がありますねー。

しかし残念ながらレンタカーにままだ十分に出回っておらず乗る機会はなかったためか、なんとなく自分が乗る姿がイメージできず購入には至らず。これでガルウイング(正しくはシザース)ドアだったら…というのは冗談としても、ちょっと大きすぎるのかなー。


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持たないカーライフの間、ヤリス3兄弟すべて乗りましたが、一番バランスがいいんじゃ?と思ったのはヤリスクロスでした。

ヤリスより荷室が広がって、レジャー目的でも大丈夫そうだし、背が高くなっても広がったトレッドが帳消しにしてるのかロールやふらつきは感じませんでしたし。
デザインも、シンプルすぎずやりすぎず,手抜きなく真面目にデザインされているのも印象が良かったです。

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一方で残念ながら乗る機会がなかったのがジムニー。後ろのドアを割り切ったスパルタンさがジャンルを超えてスポーツカー好きに響いてきますし、絶対古びないであろうデザインも魅力です。

現代的なSUVと本格的クロカンと全く対照的ですが、クルマは車高が低いのが正義!と思い込んでいる私の琴線に触れました。

でもこういうクルマはもう少し歳をとってからでもいいかな。いましばらく地面に張り付いてグリグリやりたいです。


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なぜGRヤリスを選んだか?を書こうと思ったのですが、納車まで時間もあるのでちょっと寄り道を。持たないカーライフの間に気になったクルマを振り返りつつ、「これは買わないなー」と思ったポイントをご紹介して、なぜGRヤリスを買うことにしたか?を炙り出したいと思います。
まず第一弾は(GRじゃない)普通のヤリスについて。

持たないカーライフに入る前からずっと2シーター暮らしでしたので、レンタカーの定番旧型ヴィッツ時代から馴染みのあるクルマでした。

当時から思いがけぬ走りの良さには感心していたのですが、ヤリスになってからの進化は自分の価値観を揺るがすものでした。

ピッタリ決まるドラポジ、軽くてスムースなのにインフォメーションのあるステアリング、十分なパワー、しっかりしたボディの下でよく動く足回り、どれも私の好みでしたし、上出来なシートと安全運転システムの支援を受けた疲れ知らずのロングドライブも私の所有欲を刺激しました。

しかし、あまりに普通すぎて特別感がないですし、そもそもカーシェアでいつでも借りれるクルマはわざわざ買う必然性はありません。

その点、ヨーロッパ市場にだけ導入されている「ヤリスGRスポーツ」なら特別感があります。

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ボディカラーもたくさん選べるので日本導入されればそれもアリかなあ、と思いますが、やはり後ろのドアと窓枠が要らないですね。それこそGRヤリス RSなんですが。

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ボクスターを手放した時の心境は過去ブログにも書きましたが、
・ポルシェならではの動的パフォーマンスを味わう機会が少ない
・その割に金銭的、精神的な負担が大きい
と言ったところだったと思います。今振り返ってみると、バルケッタ以来3台のオープンスポーツカーを乗り継ぎ、その都度クルマの性能も向上し「行ける所まで行った」結果、満足したというか「気が済んだ」のだと思います。
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そうなればクルマに乗る目的は利便性のみ。必要な時に車を借りれば事足りるわけで、レンタカー、カーシェアと公共交通機関を使う生活に切り替えました。
この3年間は、さまざまなシーンで色々なクルマに乗る事で、主に国産車の技術動向を知ることができましたし、自分がクルマに何を求めているかを見つめ直す良い機会でした。

思えば私は、クルマに「乗る楽しさ」と「利便性」の両極端だけを求めていて、その先にある大事な事を見失っていたのかもしれません。
それはハッピーになることです。
峠道を走るのも、自分や家族、荷物を運ぶのも、究極的にはハッピーになりたいからです。しかし、それだけでは十分でないことを3年間の「持たないカーライフ」で学びました。
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そう、この3年間(ひょっとしたらもっと昔から)満足していたし、不便でもありませんでしたが、ハッピーでもありませんでした。
スキーやレジャーは、新幹線や路線バスのダイヤ、レンタカーの返却時間を考慮すれば計画できますが、もしスケジュールが遅れれば、行きたいところや食べたいものを諦めたり、余分な交通費が発生します。かと言って余裕をもった計画を立てて何のトラブルのなければ、無駄な空き時間を過ごすことになります。

そのクルマでどれだけ楽しく過ごしてハッピーになれるか、言わば「ハッピーパフォーマンス」が大事だったんです。

パワーはなくとも軽快に走る、
好みのスタイルのクルマに乗って、
維持費や将来のお金の心配をせず、
いつでも見たいもの見に、食べたいものを食べに行ける。
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それにピッタリなGRヤリス RSが、この春のモデルチェンジでカタログから消えた時、
「買うなら今しかない!今乗らないときっと後悔する」
と思ったのです。

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21年4月にボクスターを手放して以来、カーシェア、レンタカー生活を続けていましたが、考える所あり再びマイカー生活に戻ることにしました。
買ったクルマは
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GRヤリスのRSです。(納車待ちなので落書き)
納車までのあいだ、再びクルマを持つことにした理由や、他に検討したクルマなど少しづつアップしようと思います。

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大阪のスキーショップ「タナベスポーツ」が主催する「タナベスポーツカップ」のSLに参加してきました。

ショップ主催の大会はレベルが高く出場しても悲しい思いをするだけなので避けてましたが、ここ十年ほど数々のローカル大会が消滅しているなか、安定して開催される大会を求めて参加してみました。

会場は志賀高原の横手山スキー場。
志賀高原、特に横手山なんて20年以上ぶり?でしたが、全然変わっておらず、リフトの遅さにビックリしました。よくこれでスキーブームを凌げたものだ。
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タナベスポーツさんはいつも通販でお世話になっており、公式YouTubeなど頻繁に更新されているので、さぞ関西らしい賑やかな大会かと思ったんですが、盛り上げるMCがいるわけでもなく、淡々としてて拍子抜けしました。

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試合のほうは2本目の最後のストレートの出口で飛び出してしまい、直後のスルーゲートを本当にスルーして結果は出ませんでした。しかし1本目の結果を見ると、少ないタイム差の中でひしめき合うポジションにつけることができ2本目は気合いが入りましたし、途中まではいい滑りができたので来年ぜひリベンジしたいです。ここのセッターはスルーゲートが好きらしく、2セットとも40秒程度で3カ所もありました。私はスルーが苦手なので重点的な練習が必要ですね。
シーズン終盤ながら横手山という安定した積雪が見込める会場ですし、ジュニアからシニアまで満遍なく参加者もおり、中止や消滅の可能性の低い良い大会に出会えました。

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今回の足はヤリスハイブリッド。何度乗ってもいいクルマです。今回は苗場からの往復250kmで使ったガソリンは12.3リッター、実に20km/l越えです。決してエコランはしておらず、主にPOWERモードでそれなりのペースで山道を登り下りしてこの燃費は恐るべき数字ですね。


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今回借りたのは、日本で1番売れているホンダのN-BOXです。

いわゆる軽ハイトワゴンですが、それにしてもこれでもか!というくらいノッポです。
この背の高さゆえの違和感とかあるのかな?と思い走り始めましたが、それは全くの杞憂でした。
ドラポジは同じホンダの旧フィットにも似た、シートというよりリビングのチェアのようなかけ心地ですが、それはそれでステアリングやペダルの位置も適切ですし、ハンドルを切っても、ブレーキを踏んでも「多分こうなるだろう」という直感に背くことなく曲がり、止まります。
加速については、エコモードでは「遅!」と思いますが、オフにすればアクセルを踏んだだけ、過不足なく騒音もそこそこ静かに加速します。
当たり前のことと思いがちですが、そうではない車に当たることもままあるので、これは実は凄いことです。
ボディもしっかりしていてミシリとも言いませんし、ドアの開閉音も「パン」なんて安い音はしません。
強いて言えばタイヤの小ささゆえか段差を越える時のショックが大きいくらいで、それ以外走りについては違和感も不満もありません。

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Aピラーの位置も適切で視界も良好、エアコンもダイヤル式で使いやすいですし、なんとオートエアコンを奢っているのもすごい。
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シフトセレクターとハザードのスイッチも、ぱっと手が届く所にあるのですが、お互いの距離が近すぎ、ハザードをつける時にレバーを押してしまいNレンジになってしまうこともあったのはちょっと惜しいポイントです。

あと、微速では前輪がどっちに向いているかモニターに表示されます。
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「いかにも初心者向けだな」と思ったのですが、想像以上に便利です。むしろこんな大事なことをドライバーの経験と想像力にまかせていた今までのクルマがおかしい、とすら思えてきました。

後部座席もとても広く、3ナンバー車でも後席のニースペースや頭上空間が足りないのが当たり前だった昔が嘘よのう。
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こうなると荷室は狭いのでは?思いますがさにあらず。ホンダならではのセンタータンクレイアウトのおかげかフロアがとても低く、縦方向に容量を作り出すという素晴らしい設計になってます。
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もちろん積み下ろしも楽になるわけで、さすがはMM思想(古い)のホンダです。

と言うわけで、違和感なくすんなり乗れて、使い勝手が良いクルマですが、そのかわりなんの快感も感動もありません。デザインもオラオラと飾り立てるわけでなく、ミニマルが鼻につくほどシンプルでもなく、絶妙に普通(皮肉ではなく、これを意図的にやるのは本当に難しい)で、所有する満足感からも遠いです。

このクルマは、操る楽しさや所有欲といったクルマ的価値観から最も遠い「走る買い物かご」です。これが日本で1番売れているクルマだ、という事実はある意味日本の自動車文化が成熟の極みに到達した証拠といえるでしょう。

「そんなの夢も希望もない」と言われるかもしれませんが、これに乗るためには、高い教習料を払って免許を取り、普通車よりは安いとはいえ幾許かの税負担をし、二重課税のガソリン税を払う必要があるばかりか、無税なわりにルールを守らない自転車に気を使うという社会的責任も負わなきゃいけません。地域によっては、こう言うクルマは生活をするために欠かせないインフラであるにもかかわらず、です。このような社会こそ夢も希望もないのではないでしょうか。

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以前街乗りをレビューしたトヨタCH-Rで紅葉見物に行ってきましたので、今回は高速道路や峠道もふくめてご紹介したいと思います。


久しぶりの街乗りで再認識したのは運転のしやすさです。ペダル操作に自然に反応する加減速、滑らかなステアリングの感触、ドラボジは昨日まで乗っていたかのように決まります。
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そして視界もいいですね。Aビラーの位置と角度が適切で、見晴らしが良いだけでなく、右折時の歩行者の有無も確認しやすいです。
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また、ぶっ飛んだデザインのわりに斜め後ろの視界も悪くないのは好印象です。

一方高速道路は初めてでしたが、まず驚いたのはそのスタビリティ。レーンキープアシストの出番がほとんどないほどです。乗り心地もどっしりと安定していて、SUV風の高めのボディが左右に振られることもありません。エンジンは1.2リッターターボでしたが、そうは思えない粘りがありましたし、エンジン音、ロードノイズ共によく遮音されていて静かなので、1クラス上のクルマに乗っているように快適にクルージングできます。往路はオートクルーズを使わなかった(というかレバー式で自照でなかったので見落としていた)のですが、非常にラクでしたね。
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復路では使いましたが、自動追尾の制御はヤリスよりやや粗く、システムが古いのかな?と思いましたが、そもそもの素性がいいのであまり気になりませんでした。

短いオーバーハング、後ろ下がりのルーフ、張り出したフェンダーはスポーティーな印象で、峠でも走りの良さを連想させますが、実際はそうでもないです。
ステアリング切り始めのインへの付きは悪くないのですが、その後はアンダーが強めに感じます。パーシャルスロットルの状態で修正舵を切り増してもノーズは内側に入っていきません。舵の効きが悪いというより、リアが踏ん張って外に出ない感じです。スローインでしっかりクルマの向きを変えてからパーシャル、というより、クリップ過ぎまでスロットルオフで回るくらいが気持ちよく走らせるコツですね。コーナーアプローチの詰め具合でラインを調整するような乗り方には向いていません。あくまで普通のクルマです。
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前回記事でも感触の良さについて触れたセレクターレバーですが、位置がとても自然ですし、感触もコクっとヌルっの塩梅が良くて気持ちいいです。ただ、実際使ってみると、エンジンのトルクバンドが広いのか、CVTが吸収してくれるのか、シフトダウンしてもパワーが引き出せるわけではありません。むしろ下り坂でシフトアップを防ぐためにギアを固定するのに使うと気持ち良いです。

また、ドライブモードの切り替えスイッチがなく、センターディスプレイのメニューから選ぶ方式ななのも走りを楽しむクルマではないことを象徴しているかも知れません。とは言っても、切り替え後はトップメニューに戻らずこの階層で固定されてるので、そんなに煩わしくはありません。
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それよりもこの操作に使うステアリング状の十字キーが死ぬほど使いにくいです。
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前回はドライブモードの存在に気づかず、おそらくエコモードだったので「ヤリスより遅い」と感じたのだと思います。状況によって切り替える、というより初めに好みで設定してそのまま、という思想なのかも。

4〜5名乗車での積載性はレジャー目的には不足気味かもしれませんが、リアシートをたためば十二分の容量があります。
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上の画像で左手前から右奥に積まれている布の包みが165cmのSL用スキーなので、よほど長い板でない限りスキーを中積みできます。ただ、リアゲートの開口部が高いので積み込みはラクではありません。
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全体的にみると、視界が良く街中での取り回しに優れ、高速では高い安定性で安心ドライブ。峠では同乗者が酔うこともない。積載性はそこそこで必要十分。というパーソナルカーとしてバランスがとれた優等生です。
基本は街乗りで買い物や通勤用だけど、実用一点張りでないカッコイイデザイン。週末は2人でレジャーで遠出することもあるけど飛ばすことはない、まさにデートカーとして考え抜かれていると思いました。
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エアコンが左右独立なのもそれを物語ってますが、だったらオーディオの音質はなんとかして欲しかった。

かつてのデートカー=スペシャリティーカーが「なんちゃってスポーツカー」だった時代と比べると、このクルマにどんな乗り味を与えるかは正解がなくなかなか難しいですが、トヨタなりの解答が表現されていると思います。すでに新型が海外で発表されていますが、それがどんなクルマになっているのか、楽しみです。


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久しぶりのカーシェアレポートです。今回借りたのは、一度乗ってみたかったニッサンの新型ノート e-powerです。残念ながらプロパイロットはついてませんでしたが、高速道路から峠道、土砂降りの雨までいろんな状況で楽しむことができました。

「e-power」とはいわゆるシリーズハイブリッドで、エンジンで発電した電気を電池に貯めてモーターで走行する方式です。エンジンは発電だけ、走行はモーターだけなので複雑な動力分割機構やトランスミッションが不要でシンプル、というメリットがあります。ノートは新型からこのe-powerのみで、純ガソリン車は設定がありません。

走り出してまず感じたのはやはり非常に静かということですね。モーター走行であることはもちろん、ロードノイズや風切り音も小さく、雨がルーフを叩く音もよく遮音されています。どうしてもロードノイズが高い時はそれに紛れてエンジンを回して充電しておくので、エンジン音を感じるのは登り坂の加速のような高負荷時のみ。音量もヤリスアクアより抑えられていて、この静かさの中でモーターならではの滑らかな加速を味わえるのは、クラスを超えたというよりクルマを超えた新しい運転体験でした。
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その一方で、「止まる」「曲がる」については今までのクルマらしい感覚が楽しめます。
電動系は電気自動車のリーフからのキャリーオーバーですが、回生ブレーキの感触は改善されていて、ペダルの踏み込み加減と減速の出方は欧州車の摩擦ブレーキのようにナチュラルです。
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回生の強さを切り替えるeペダルのスイッチは廃止され、走行モードとセットで切り替わるようになりました。ECOモードがeペダルON、NORMALモードがOFF、SPORTSモードがその中間のようで、私的には高速道路ではNORMAL、峠ではSPORTSがちょうどよかったです。


ステアリングは中立付近の不感域が少なめで、サスペンションも動き始めから程よい締まりを感じるタイプなので、峠ではソリッドな走りが楽しめます。
ターンインでアクセルオフして回生ブレーキを効かせ、荷重移動にあわせてステアリングを切り始めるとインサイドに吸い寄せられるように曲がってくれますし、保舵中もタイヤのグリップが程よく手のひらに伝わってきます。また、細かいS字の切り返しでもリアがモッサりせずキビキビと追従してきて爽快です。

ヤリスが懐の深さで受け止めつつ踏ん張るのと比較すると、ノートはよりビビッドに運転操作に反応してくれます。両車とも運転が楽しいクルマですが、スポーティさへのアプローチが違っていて興味深いです。


先代ノートではクルマの動きがドライバーの直感に反することが多かったので、この「思うがまま」さは大きな進化ですね。

進化は走りだけでなく、内装にも表れています。バルキーで安っぽかった先代から質感が大きく向上しており、ライバルと肩を並べました。
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センターコンソールは高さのあるタイプでスポーティな包まれ感があります。狭く感じるのでコンパクトカーでは珍しいですが、コーナリング時に左の膝で体を支えやすく、早くから横Gを感じるこのクルマにはあってますね。また、プロパイロットの手放し運転時のアームレストも兼ねていると思われます。セレクターの下は空間があり、狭さ感を緩和ししつつ小物置き場にもなっているのも気が利いてます。
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シートはもう少しフィット感が欲しい気もしますが、長時間でも疲れませんし、ドラポジもピタッと決まります。また、ヤリスにはないシートベルトアンカーの上下調整があり、鎖骨に当たってムズムズしない位置でベルトを締めることができます。
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前方視界も良好で、Aピラーが目に入りやすい位置にもかかわらず、視野がとてもクリアに感じました。フロントガラスが平面に近いことが好影響してるのかも知れません。
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メーターはフルデジタルならではの仕掛けがあり、ワイパーやライト、ドライブモードのスイッチを操作すると、その結果がディスプレイにポップアップされるようになっています。

小さなインジケーターをメーターの中で探したり、ステアリングの向こうのスイッチを覗き込むような煩わしさを解消する良いアイデアですね。
コンパクトカーの内装は、カジュアル感や開放感の向こうにコストダウンが透けて見えがちだったりしますが、様々な工夫で運転に集中できるようにデザインされており、このクルマの大きな魅力になっています。
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その点で惜しいのはエアコンで、操作パネルはダイヤル式で使いやすいものの、ミニマムでも風量があるのに吹き出し口を閉じることができず「涼しいけど顔に風を当たらない」ような微調整ができないのが残念でした。

走りでも、ドライバーが見て触れる所でも、電動車らしい新しい感覚と、従来のクルマらしい運転する楽しさを両立しているのがとてもユニークです。
ヤリスはクルマらしさの延長線上でクラスの常識を塗り替えましたが、ノートはそれとは違った方向で常識を塗り替えていて、電動時代の新しい価値観を示したクルマだと思います。純ガソリン車を廃してe-powerだけに絞ったことに、ニッサンの強いメッセージが込められているのではないでしょうか。

そう思うと、やはりプロパイロット付きこそがこのクルマの本来の姿だと思われます。機会があればぜひ運転してみたいです。




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今回借りたのは「ハスラーー」の二代目。スズキお得意のマイルドハイブリッド仕様です。ひょっとして新規格になった軽自動車って初めて乗ったかも?

このクルマは初代登場時から鳥山明のイラストやキャラクターを使ってデザインのユニークさを売りにしており、なんとなく「見た目優先」のイメージがありますが、実際乗ってみると(いい意味で)フツーに乗り易く、外見に惹かれて買っても後悔することのない良いクルマでした。

デザインは初代からのキープコンセプトですが、前後左右のウインドウが垂直に近くなってよりスクエアな印象になってます。より長くなったホイールベースとリアウォーターウインドウもあいまって、ジープラングラーのロングボディのような本格クロカンをぎゅっと凝縮して、可愛さと無骨さをブレンドしたなかなか秀逸なデザインだと思います。
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極端に短いリアオーバーハングの中にボディパネルの分割線がキレイにレイアウトされており、真面目にデザインされている印象。
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リアゲートがほぼ垂直なので開閉にスペースが必要なので、駐車スペースには気を使う場合もありそう。
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ホイールはスチール製ですがシンプルかつキレイなデザイン。ホイールキャップもアルミホイールも要らない!デザイナーの良心を感じます。
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内装も切り立ったインパネにタフさを感じさせつつ、ボディ同色のベゼルを並べたり、シートにも同色のワンポイントを入れたりとオシャレさも忘れません。
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乗り味は、変な癖がなく乗りやすさの極みです。アクセルペダルを緩めれば自然に減速し、ブレーキペダルを踏めば停止まで一定の減速Gを感じます。変に気取って小径にしたりしないステアリングホイールを切れば、ロールを誤魔化すようなことはせず、自然に頭がそちらに向きます。ハイブリッドの割に出足加速が鈍い事を除けば、不満も違和感もなくフツーに乗れます。今まで乗ったいくつかのリッターカーが、ドライバーの直感に背くような変な挙動を示す事があった事を考えると、実はすごいと思います。

ドラポジもピタッと決まるのはもちろん、シートベルトアンカーに高さ調整がついていて、ピッタリに調整できるのは本当に偉い。
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ラゲッジスペースは汚れても拭き取りやすい仕上げになってます。
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この画像では、スーパーへの買い出しで満載になってますが、リアシートスライドがかなり後ろなっているためだと思います。コストをかけてでも荷物と人間の優先度をメーカーで決めず、ユーザーに委ねる所にスズキの良心を感じます。
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ここまでよくできてると、イマイチなところはほぼ粗探しで、ややロードノイズが大きめなこと、バックモニターの視点が低すぎ、高めアイポイントとの差が大きくて違和感があること、
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フットレストが低いこと、
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くらいしかありません。

兎角デザインの良さで品物を選ぶとちょっとした不満も気になりがちで、「やっぱり見た目で選んじゃダメか」とか思いがちですが、このクルマにはそんな心配はご無用です。カッコいい、カワイイ、だけでかってもそんなにがっかりはしないと思います。


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久しぶりのレンタカーインプレッションです。今回はトヨタのパッソ。排気量1000ccのガソリンのみなので1500ccも用意のあるヤリスのさらに下のクラスになります。実質はダイハツのブーンですね。

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インテリアやインパネはシンプルの極み。あまりに何もないので逆に「あのスイッチはどこだ?」と探してしまいますが、元々何もついてません(笑)。柔らかでカジュアルな造形がそれをうまく隠していて、旧型ノートのようなチャチな感じがしないのは上手いと思います。
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でもちょっとナビもエアコンもドライバーから遠いかな。エアコンは温度調整こそダイヤルでブラインド操作ができますが、それ以外はボタンを押した結果をLEDか液晶画面で確認する必要があります。多分この構成だと部品点数が少なくて安いのでしょう。

シートはベンチシート的なフラットなタイプですが、見た目に反してかけ心地も良くサポート感もあります。200kmほど乗りましたがお尻も痛くなりませんでした。座面高さの調整代もけっこうあるのですが、ステアリングの高さが低めでちょっと先代ヴィッツのような変な感じですが、その分視界はいいです。
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走り出すとまず気になるのは、ステアリングのフリクションがあるざらっとした感触。車の反応も舵角に対してワンテンポ遅れる印象があり、ちょっと古臭いです。脚の動きもスムーズさがなく、車高から連想するような脚の懐の深さは感じません。アクセルへの応答も鈍くキビキビ走れる感じはしないです。全体的に運転操作に対する反応が鈍く、なんか油が切れた機械みたいな感じでコストダウンを感じてしまいます。

一方で良いところは、まずブレーキのフィーリングですね。カックン感が全くなく、踏んだ分だけ効く感じです。もう少し手前から効いて欲しい気もしますが、制動力を増す方向だけでなく抜く方向にもコントロールしやすく、これはコンパクトカーらしからぬ好印象です。また、結構な豪雨の中でも雨が屋根を叩く音やタイヤが水を切る音が気にならなかったので、静粛性も良いと思います。

高速道路も運転しましたが、横風にめっぽう弱く、路面の荒れもいちいち拾って姿勢が乱れます。車格的にも外力をいなす程のキャパシティがないのかもしれません。また、新潟市内から苗場までの200km弱でガソリンが半分になってししまったのですが、燃費悪いのではなくガソリンタンクが小さいようです。また荷室も最小限です。
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リアシートを畳んでも165センチのスキー板が運転席側にはみでてしまいます。
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いろんな点で「街乗りスマートコンパクト」というコンセプトどおりなのでしょう。

トヨタのコンパクトカーですが、全体的な印象はヤリスやアクアよりも先代フィットに似ていて、クルマと言うよりより日用雑貨みたいです。ヴィッツがヤリスに進化した過程でこぼれ落ちた「買い物クルマ」のニーズをすくい上げたクルマと言ってもいいかも。

もし、ヤリスとどちらを買うか悩んでる人がいたら「一瞬でも日々の運転を楽しいと思うならヤリス」とアドバイスしたいです。一方、レンタカー/カーシェアではヤリスと同クラスですが、あえて追加料金をはらってパッソを車種指定する理由は見当たりません。かといってパッソを避けるためにヤリスを指定するほどのことでもないですね。パッソがでてきたら「今回はハズレだな」と思いましょう。
 
 
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今回借りたのはヤリスクロス、言うまでもなくヤリスのSUV版です。スタイリングはヤリスをリフトアップしただけでも、大型SUVを小さくしただけでもなく、なかなかカッコいい。易きに流れずデザインしてる印象です。

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センターコンソールや走行モードのスイッチ、ステアリングやウインカーレバー等はヤリスやGRヤリスから流用してコストを抑える一方、インテリアの顔であるメーターパネルはデジタル式を丸いベゼルで三分割したオリジナルデザインが奢られていて、Gショックのようなカジュアルなタフ感があり、SUVっぽい演出になっています。
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内外装ともに、コンパクトSUVらしさに真面目に取り組んでいる印象です。

ドライブフィールやドラポジはヤリスの良さを踏襲していて、(少なくとも街乗りでは)メーターパネルを隠して運転したらどっちなのか区別つかないと思います。車高アップによる変なロール感やふらつき感がないのは、車幅が広っがている好影響かもしれません。

全長も伸びているので、荷室もヤリスより広く、荷物が多くなりがちなレジャー使用を考えるとこれくらいあると安心ですね。
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今回借りたのはハイブリッドでなく、1500ccのガソリンでした。瞬発力はハイブリッドには及びませんが、車線変更時に並走車の前に出たい時など、平坦な街中なら不都合はなく、ガソリンも十分選択肢に入ると思います。

ヤリスより大きくなっていると言っも常識外に大きいわけではありませんし、ボンネットが角ばっているぶん、前方の見切りもよいです。(画像では分かりにくいですが、ボンネットのエッジが見えます)。
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荷室の広さと相まって、むしろ本家ヤリスよりも使い勝手が良く、家族向けの本命はこっちかも知れません。
 
 


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カーシェア一番のお気に入りにもかかわらず、なかなか予約がとれないマツダ 3をやっと週末の小旅行で借りることができ、高速や峠で乗れたのでレポートしたいと思います。結論から言えば、やっぱりすごく好印象なのですが、もう一皮剥いて大人っぽくしたいクルマでした。

のっけから前回の好印象のひとつ「使いやすいナビ」については、ちょっと印象が後退しました。最大の弱点は文字入力です。タッチパネではないジョグダイヤルのインターフェースは、メニュー階層を追うのには楽ですが、50音を行と段で選択するのはあり得ないレベルで面倒くさいです。
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ダイヤルの上面をタッチパッドにして直接選択することもできますが、これを左手でやるのもなかなか難しい。
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また、カタカナ入力ができない(検索すれば不要なのですが)のも、かなり戸惑いました。

エクステリアデザインに目を向けると、やはりポイントは以前にも実現の難しさを紹介したこのCピラーですね。
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ディテールとして面白いだけでなく、タイヤが踏ん張っている雰囲気や、短いリアオーバーハングをさらに短く見せる効果もあって、全体のフォルムにも効いています。
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一方ノーズが長いのはやや古臭く感じます。Aピラーをあと3センチくらい前に出すと今時の塊感がでてもっとカッコいいと思うのですがどうでしょう。
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また怪獣のギャオスのような眉間が尖った顔はノーズが長く見えることを助長してもいますし、ちょっとオラオラ感が出過ぎ。もうすこしジェントルにしてもいいと思います。

タイムズカーではヤリスなどと同じベーシッククラスですが、実際にはもう1クラス上なので、内装の質感は高いです。ほどよく凝った造形は所有する満足間をくすぐりますね。
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さて走りの方ですが、タイムズカーで提供されているのは1500ccのガソリンなので、この車格(プリウスと同等)ではいかんせんパワー不足です。それを見越してかミッションは6弾ATが奢られているものの、トルクが足りない峠の登りでは2速と3速を行ったり来たりすることが多く、CVTが欲しくなります。やはりトップグレードの2000cc+モーターが本来の姿なんでしょう。

一方で、マニュアルシフトのレスポンスは十分に良く、トルコンATとは思えない小気味良さがあります。ツインクラッチの必要性を疑いたくなるほどです。こうなると細かいところが気になるもので、ヘッドアップディスプレイにシフトポジションの表示が無いのが惜しいです。
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また、セレクターレバーの位置も左右方向に体から遠いですし、ストロークも大きく、あまりスポーティな感じがしないのももったいない。下の画像で私の左手があるあたりまで移動したいです。
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マニュアルシフトの方向はやっぱり逆じゃないかと思いますが、まあ慣れますね。パドルシフトは上のグレードならつくようです。

ステアリング操作に対するノーズの動きも遅れることなくスムースです。ノーズがインに入った後にもう少しラインがキープできたらいいですが、S字の切り返しもモッサリ感がなく機敏です。これでリアサスはトーションビームなのですから、もはやFF車はこれで十分な気がしてきました。
足はけっこう硬めで、それが機敏な印象にもつながってるのかも知れませんが、もう少ししなやかさがあるほうが、姿勢変化も感じ取れて走りやすい気もします。

高速道路では、この硬さゆえか、段差なんかはハッキリと伝わってきてしまいます。
運転支援系では、自動追尾で前走車がいなくなった時の加速がすごいです。躊躇することなく2段キックダウンして獰猛に加速します。正直自分もそういう運転をしますが、同じ事を機械に求めるわけじゃありません。同乗者がいる場合もありますし、もう少しジェントルでもいいと思いました。

といった感じで、私好みのスポーティさはあるものの、もう少し洗練して一皮剥きたい、という印象です。街乗りやチョイ乗り使い勝手を考えても、パーキングスピードでのハンドル操作力はもっと軽い方が楽だし、斜め後方の死角には乗用車がすっぽり隠れてしまったりと、やっぱり一皮剥きたいですね。

小旅行の目的は恒例の紅葉見物でした。今年は色鮮やかで当たり年ですね。
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以前ダム内部を見学した三国川ダムの周辺は知名度が低いためか空いてますし、景観も野趣あふれていて、けっこうオススメです。
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勤続30年のお休みを利用して、学生時代以来の佐渡を楽しんできましまた。おいしい食事、興味深い文化遺産、美しい景色、そして走りやすいワインディングロードいっぱいの最高の旅でした。

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今回初めてジェットフォイルに乗れました。前回はバイクでしたのでカーフェリーにせざるを得ず、洋上でタービン音を響かせて追い抜いていくジェットフォイルの姿を見送って以来の夢が実現しました。海が穏やかだったので、揺れの少なさを通常の船と比較することはできませんでしたが、一点間違いなく快適だったのは匂いですね。フェリーの船内は油の匂いがあり、それだけでも酔いそうですが、ジェットフォイルはほぼ無臭。燃料の違いかもしれません。

新潟県はどこも道路が整備されていて、快適に運転できますが、佐渡も例外ではありません。海岸線も山の中も、見通しがいい程よく深いコーナーが続き、適度にアップダウンもあるので、非常に運転が楽しいです。そして最大の美点は、交通量の少なさ。日中でも前走車に煩わされず、マイペースで走れる事が多いです。
スポーツカーやオープンカーのオーナーは是非訪れてほしいですし、島内のレンタカーはもっと楽しいクルマを用意してほしいですね。
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この道の良さと風光明媚さから私が妄想するのはWRCの開催です。
真っ二つに割れた金山の脇を、
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巨大な産業遺構の前を、
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昔ながらの漁師町を、
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そして北部の絶海の岬を
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ラリーカーが駆け抜ける姿は、是非見てみたいし、中継映像を世界の人届けたいですね。きっとサルディニアやスペインに匹敵する絶景ラリーになると思います。

そして世界から訪れたラリーファンやチーム関係者の舌と胃袋を満足させることは間違いありません。
北沢浮遊選鉱場近くの「古民家空間 京町亭」のカニづくしカレー。甲羅の下にはカニクリームコロッケが隠れています。
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絶景のカフェ「しまふうみ」。東京近郊だと江ノ島や鎌倉にも同様のカフェがありますが、視界の広さ、余計な人工物の少なさは桁違いです。
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佐渡といえば、新潟市内のピアBandaiでいつも混んでる超絶美味しい回転寿司「弁慶」の本店があります。今回はこの南蛮エビが絶品でした。普通の甘エビでは味わえない旨味の濃さ!
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両津港の佐渡汽船ターミナル内にある「maSanicoffe」の佐渡小判バーガー。肉肉しい美味しさたっぷりの今時のハンバーガーです。カレーもおいしく、乗船の待ち時間をつぶすだけのフェリー乗り場の喫茶店と思ったら大間違いです。
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今回の宿泊は「いとしげな宿こいちゃ」。いとしげとは新潟弁で「可愛い」という意味。NegiccoのMeguさんがモデルをつとめる佐渡の案内誌「いとしげな佐渡」が監修したお宿です。クラウドファンディングで募った費用で改装されています(私も購入しました)。ウィリアムモリスの壁紙をあしらったお部屋は趣味よく「いとしげ」です。
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朝食は要予約で、通常はたい焼きの朝ごはんです。朝かあらたい焼き?と思いますが、ゴマ風味の甘さを抑えた餡とモチっとした皮は、オヤツ感がなく、ワッフルとかパンケーキのイメージなので朝食としても違和感はなく美味しくいただけます。あと腹持ちもいいです。
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不定期でフレンチシェフによるガレットの朝食もあります。
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今回の旅行では、食事や宿泊もキャパに余裕があり、クオリティ高いサービスをじっくり味わうことができました。首尾よく世界遺産に登録されたらこの状況も終わってしまうかもしれません。まさに「今訪れておくべきドライビング世界遺産」だと思います。

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アクアの次はその兄貴分、プリウスです。これだけ売れているクルマですし、ズボラめの運転を許容するような緩めのクルマなのかなー?と思っていたのですが、そんなことはなかったです。とはいえかっちりソリッド、というわけでもなく、いい塩梅でバランスがとれたクルマでした。

車格的には3ナンバーで、いつも借りてるクルマたちより幅がありその分Aピラーが外側にあるので、前方視界は良好です。
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プリウスといえばセンターメーターですが、幅が広いため、右端にあるスピードメーターに関して言えば確かに視線移動は少ないと思います。しかしそれ以外は遠く感じたので、あまりメリットは感じませんでした。
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シート高さの調整しろの設定が適切なのか、上いっぱいとか下いっぱいにせずともドラポジがピタッときまります。ステアリングは、位置こそセンターメーターとの干渉を防ぐためかやや低めですが、直径は小さすぎず、太さは太すぎず、へんにスポーティに振っていないのが好印象です。ヤリスやアクアがスポーツカーのように小径かつ太めなのとは対照的です。

流石にこの車格なのでトランクルームもこの広さ(写っているリュックは45リッターサイズ)。巨大空間ではないですが、引っ越しでもしない限り不足するとは思えず、乗用車として必要にして十分ではないでしょうか。
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走りの方は、トレッドもホイールベースも大きいためか、ロールもピッチも穏やかで、車の懐が深い感じがします。とくにピッチングは穏やかで、バッテリーの重さも良い影響を与えているのかも知れません。

アクセルペダルの踏み加減に対しては、ポンと飛び出たり空走感があったりすることなく、ドライバーの操作に穏やかに忠実に従ってくれる印象です。それでいて踏み込んだ時はハイブリッドらしい十分なパワーがタイムラグなく溢れてきます。
ブレーキのフィールはヤリスに似て、踏み始めにカックンがあるものの、そこから踏み込めば制動力がちゃんと出るという、楽な国産とリニアな欧州車のいいとこ取りみたいなブレーキです。

ハンドリングは、ステアリング操作に遅れることなくノーズが向きを変えてくれますし、その後もアンダー感はでず、切り返しでもリアが「ドッコイしょ」とすることなく付いてきます。かと言ってクイックとか神経質ではないので、当たり前に曲がっているだけに感じてしまいがちなのですが、Rがキツくアップダウンの大きいワインディングでも、けっこう楽しく運転している自分にふと気づいたりします。

つまり、普通に運転すれば、なんのストレスもなく快適に乗れるのに、ムチを入れればそれに応えて思い通りに走ってくれるという両面性を兼ね備えたクルマです。それでいて、単にその真ん中をとっただけではない素性の良さを感じました。

スタジオジブリのアニメは、親子で観ても楽しめるのに、メカマニアやアニメオタクも唸らせて、その上どちらの心にも何かを残してくれる名作揃いですが、このプリウスもファミリーやシニアが楽に快適に乗れるのに、クルマ好きや運転好きも納得できる走りがあり、まさに「クルマのジブリ」だと思いました。

思わず「新型プリウス」と呼んでしまいそうな本モデルですが、実は初登場は2015年。しかしクルマとしてのアドバンテージは十分で、7年も経っているとは思えません。その一方で電子的な装備の古さは否めないですね。オプションによるのかもしれませんが、USBポートが無いのには驚きました。また、インフォーメーションディスプレイを操作するステアリングの十字キーは使い方がさっぱりイメージできないデザインでした。そろそろ新型が発表されるらしいので、きっとそういうところは改善されると思います。

個人的には走りが気に入ったので、同じプラットフォームを採用しているカローラスポーツも気になりますね。また、ユーティリティはカローラクロスやカローラツーリング、流行りのスタイルはC-HRがあるので、新型プリウスはいっそのこと4ドアスポーツにふったらいいのでは、と思ったりしています。


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先代アクアはカーシェアを使い始めた頃に乗って、ノイズの多さや内装のデザインなどの質感であまりいい印象がありませんでした。

今回新型に乗ってみて、静粛性を初めとした走りの質感は大幅に改善されていました。エンジン音は三気筒なので快音とは言えませんが音量は抑えられていますし、補器類の変なノイズもありません。
プラットフォームや足回り、パワートレーンは非常に満足度が高かったヤリスのハイブリッドと共通です。


ほぼ中身は同じであるヤリスに対して最を違いを感じたのはハンドリングでした。ステアリングをきると回頭がすぐ始まるのはヤリスと似ているのですが、その後の舵角に対する頭の入り方はゆっくりしていて、アンダーステアを感じます。乗り心地も芯が柔らかめで、ソリッドで欧州車っぽいヤリスに対して、ややゆったりした国産車然としたキャラクターにしてある印象です。

セレクターがプリウスと同じ電気式なのもヤリスと違うところです。Dレンジから1段手前に引くとBレンジにシフトダウンするのはいいのですが、前に押してもDレンジに戻らない、というのは結構戸惑いますね。また、Pレンジのボタンがシフトパターンの印刷表示と似ていて、何らかの方向にレバーを操作すればPレンジに入るのでは?と思い込んでしまいました。
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日産リーフも同じような電気式セレクターですが、シフトダウンもPレンジへの切り替えも、こちらの方が直感的でわかりやすいです。
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ドライブモードには新たに「POWER +」というモードが設定されています。加速が良いのに加え、アクセルを離した時に強めに回生ブレーキが効くため、日産のeペダルのような運転できる、という触れ込みなのですが、コーナー手前でうまく使うとタックインが強く出るので、前述のアンダー感を消すことができ、山道での印象がガラッと良くなりおススメです。
惜しいのはこのボタンがセレクターレバーの向こう側にあるので使いにくいこと。
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ミニバンではないのだから、こういったボタンとセレクター、電動パーキングブレーキを使いやすくセンターコンソールにまとめた方が運転しやすいのでは?と思います。

ただ、センターコンソールにある物入れは、スライド式の蓋で上下段にわかれていて、すぐに取り出したいものは上(例:スマフォ)、隠したいものは下(例:小銭)と使い勝手がいいです。
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パーキングブレーキが足踏み式なのは「?」ですが、ペダルにちゃんど表示があります。ソリオではこれに戸惑ったので、こういった所はさすがトヨタです。
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メーターはヤリスとガラッと異なりフルデジタル表示。なんとなく国産車っぽいです。
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ステアリングはヤリスと共通ですが、かなり小径なので、前述のとおりゆったりしたハンドリングの味付けと違和感があります。大きめのステアリングの方が合ってる気がします。

シートはヤリスよりやや高く、リフターを目一杯さげても「もう少し下げたい」感じでした。ロールも大きめなので私的にはもうちょっと低い方が好きです。
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ヤリスよりもノーズが短く塊感のあるデザインはなかなか良いですね。特にリア周りは相貫体だった先代からガラッと変わり、柔らかな中にもゴツっとした強さが感じられカッコいいです。ヤリスより好きかも。
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Aピラーの位置など外観のイメージもヤリスと違いますが、前方視界は似ていて良好です。
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先代の室内は無駄な装飾が多い印象でしたが、面積の大きいアクセントは塗装でなく光沢パーツにするなど、抑制が効いている感じです。フルデジタルのメーターとも似合っていて、ハイブリッド専用車らしい先進性を感じるデザインですね。
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ヤリスとアクアは同じプラットフォームで、ハイブリッドならパワートレーンも共通ですが、ハイテク=国産車っぽいアクアに対して、ヤリスはデザインも乗り味もメカ=自動車っぽい感じが強く、結構違うキャラクターが与えられています。私ならヤリスを選びますが、アクアも音や走りの質感じが大きく改善されているので、先代に乗っている人の買い替えにはおすすめです。
 
  

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スイフトからひきつづきスズキ車です。今回はソリオの旧モデル(3代目)です。ソリオは元々ワゴンRのワイド版で、軽自動車からはじまった「ハイトワゴン」が普通車に広がった嚆矢となったクルマの一つです。2代目から軽自動車とは別のプラットフォームになっています。

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ハイトワゴンはノーズが短くAピラーがドライバーから遠いので、視界を遮るのでは?という先入観があったのですが、スイフトと同様そんなことはないですね。
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メーターはセンターレイアウト。シフトセレクターはミニバンでよくあるインパネから生えているタイプ。短い乗車時間の中では操作性に特に不都合は感じませんでした。
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パーキングブレーキが久しぶりのペダル式でした。
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もう一度踏むと解除するタイプでどこにも表示がないのでちょっと戸惑いました。

ナビの操作はあまりしませんでしたが、バックモニターの画質が昔のデジカメみたいでした。
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画像の通り、ガイド線が空中を指してますがこれはちゃんと設定すれば治るのではないでしょうか。幸い真四角なボディは見切りが良く、こられに頼らずとも駐車は楽でした。

走り出してすぐに気になるのは、減速時の反応でした。アクセルを緩めると始めはしっかりエンブレが効き「そのまま減速するのかな」と思いきや、すぐに減速が緩みます。加速してる?とすら思うほどでヒヤッとします。昔のAT車ではエンジン回転数が落ちると減速中でもシフトアップして、同じような感覚が生じることがありましたが、それに似ています。
ステアリングは中立に戻そうという反力が強い割に、切ってもクルマの向きはあまり変わらず、なんだか「イヤイヤ」されているようです。
どちらもドライバーの直感に反するような反応で運転しやすい、とは言い難いですが、車高がある割にフラフラしたロール感があまり感じないのは良いと思いました。ひょっとしてフラフラ感を抑えるためにステアリングを中立から外れにくくしてるのかも知れませんね。

ドラポジは上からペダルを上から踏みつけるようなアップライトなボジション。にもかかわらず頭上空間がすごくあります。
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座ってませんが後席のニースペースはたっぷりありそうでしたし、前後席間はウオークスルーであったりと居住性はかなり高いです。

しかし前述のように運転間隔が直感に背くので、この居住性が活きるような長距離ドライブをする気にはなれず、そこはちょっと不思議なクルマだなあ、と思いました。
 
 

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タイムズカーで長時間の予約(72時間以上)の場合は「車種おまかせ」しか選べず、何が出てくるか楽しみなのですが、今回は初めてのスズキ車「スイフト」でした。
スズキといえば、このブログでも「インハウスデザインオブザイヤー」で取り上げたジムニーラパン、現代の軽自動車の基本型であるハイトワゴンを発明した「ワゴンR」と、小型車のデザインでは一歩抜きん出ているメーカーという印象があります。
そんなスズキの普通乗用車の代表車種がこのスイフトです。

初代のピュアさは薄れていますが、ボディ寸法の制約の中で彫刻的な形をうまく使ってメリハリとダイナミックさを感じさせるデザインはさすがですね。
また、立ち気味のAピラーは視界を遮らず前方視界もいいです。
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インテリアは過剰な飾りはありませんが質感は高いです。ベーシックなクルマらしく好感が持てます。
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エアコンは使いやすいダイヤル式ですが、中央の温度表示も丸窓なのでこっちを回したくなります。また、猛暑日だと風量全開でないと室温が下がりきらず、少しパワー不足かも知れません。
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ナビの操作性はイマイチでした。ナビ機能のトップメニューにはいるキーも現在地表示にもどるキーもなく、ナビに関する操作ステップが多く煩わしいです。
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またバックモニターの視点が低すぎて障害物との距離感が掴みにくいですね。一方でオーディオの音質は良かったです。

トランクは最小限。全長はヤリスより10センチ短いので車格なりですね。
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走りについては、加減速の反応が直感的でないのが気になりました。
アクセルをじわっと踏んでも不自然にポンと走り出します。そこから30km/hくらいで一旦もたついて、我慢してると遅れて速度が上がってきます。
ブレーキも踏み始めにカックンと効くわりに、そこから踏力をかけてもあまり制動感がでません。ちょっと昔の小型車っぽく古臭い印象でした。
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短めのセレクターレバーはスポーティーな雰囲気ですが、Sポジションが別のボタンになってるのが独特です。確かにレバーだと行きすぎてNに入ったりするのでなるほど、と思うのですが、ボタンを押し込んでも感触ではオンオフが判別できず、いちいちモニターで確認しないといけないのは惜しいですね。
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一方でハンドリングはなかなかいいです。ステアリング操作に対して、ノーズが遅れなく入ってきます。車速があがって舵角を増すとアンダーを感じますが「そろそろやめた方が」と伝えるのはある意味正しいですね。切り返してはもたつく事なくリアがついてきて小型車らしい軽快感があります。ここはヤリスとは反対で面白いです。

4気筒なのでエンジン音は馴染みのある音質で耳障りではありません。ロードノイズは低速では静かなのですが、60km/hくらいで天井で反射するように上から降り注ぎます。さらに加速するとそれは収まるので、高速ではむしろ静かに感じます。

運転支援も一通り揃っていますが、車線キープアシストは介入意図がわかりにくいですし、アダクティブクルーズコントロールは、前方が開けて加速に転じるのがワンテンポ遅く、そのぶん一気に加速するなど、やや洗練度に欠ける気がしました。

シートはやや猫背になる感じで、私の好みだとランバーサポートが足りないと感じましたが、意外にも疲れは感じませんでした。

なんか厳しめ文章になってしまいましたが、全体の印象はよかったです。軽中心のメーカーなのでもっと安っぽいのかと思っていたのですがそんなことはなく、軽いボディを活かして軽快に走りますし、質感や視界といったツボを押さえていて「さすが小型車メーカー」と思わされる事が多かったですね。
 
 
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かつてスペシャリティカーというジャンルが自動車市場の一角を占めていました。例えば私も乗っていたトヨタ セリカなどです。

スポーツカーのようなデザインのボディを普通のセダン(セリカの場合はコロナ)に載せた「スポーツカーっぽいけどスポーツカーではない」クルマで、「デートカー」とも言われたりしますが、これが成り立っていたのは「スポーツカーはカッコいい」という前提があったからです。

現代はこの基準が変わりましたが同じことはできるはずで、プリウスをベースにいまどきのかっこよさ=「SUVっぽい」を組み合わせたのが、今回とりあげるC-HRです。同じような例はこれまでもあり、ホンダのHR-Vとか、日産のラシーンのなどがそれにあたると思います。



過去の例と比較して、C-HRが卓越してるのはデザインのオリジナリティですね。側面のダイヤ型のモチーフなんて見たことも聞いたこともないですし、それに張り出したフェンダーと後ろ下りのルーフを組み合わせるのは過去のクルマからの引用ではなく、新しいカッコよさの発明です。こういう当たり前でないアイデアをきちんと当たり前のように実車のデザインに落とし込むのはトヨタは上手です。
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内装も柔らかな質感の中にエッジが効いた造形が入っていてなかなかカッコいいです。ただしオーディオの音質はチープ。デートカーとしてはこれはいただけない(笑)。
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セレクターレバーも短めで質感もよく「乗用車じゃないぞ」って感じがよくでています。マニュアル操作の時の感触も滑らかさと手応えのバランスが良く気持ちいいです。
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ただし、CVTはやや滑り感があり、ヴィッツのようなラバーバンドではありませんが、ヤリスほどダイレクトではなく、マニュアル操作をしてもスポーティーな感じはないです。
他の走りの面もまったく普通です。エンジンが四気筒なので、ヤリスのよりも音や振動のは快適ですが、1.2のターボだと出足が遅くヤリスのハイブリッドの方が速く感じます。リアサスにはダブルウィッシュボーンを奢ってますが、街乗りだとそのメリットはピンと来ません。後発のヤリスが下位クラスにも関わらず素晴らしすぎかもですね。
そういうコンセプトなので当然ですが、C-HRは「カッコよさ」以外に積極的に選ぶ理由はあまりない気がします。逆にいえば「プリウスはたくさん走ってるし、カローラは所帯じみてて嫌だ」という人には最高の選択肢で、実際街中でよく見かけます。「買うならカッコいいクルマが良い」と思ってる人が多いことは健全で心強く感じますし、「クルマ離れ」なんていう風説に惑わされないトヨタの企画力は流石だと思います。

昔のスペシャリティカーが、「本物のスポーツカー」では無かったように、このクルマもSUVの「U」=ユーティリティは本物とは言い難いです。例えばラゲッジスペースはこれくらいです。
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小さいわけではありませんが、ハリアーならこんなに広いです。
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買う人はわかって買うので問題ないのですが、借りる人は注意が必要です。レンタカーでは「SUV」にクラス分けされている場合もあり「友達四人でキャンプに行く」つもりでC-HRが出てきたら阿鼻叫喚地獄です。「2人でちょっとした買い物」なら問題ありませんが「ミドルクラス」など料金設定が高い事業者もあるので無駄金を使う羽目になります。

というわけで、利便性のみにお金を払うレンタカー、カーシェアオーナーにはあまり縁がないかもしれません。でもカッコよくていいクルマです。

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レンタカーの使いにくいポイントは「営業時間内でしか貸し出し、返却ができない」だと思います。レンタカーの営業所は地方でも都内でもだいたい20:00くらいまでなので、「帰りの渋滞を見越して、家の近所に20:00に到着することが必須」となると、かなり余裕をみて現地を出発しなければなりません。これでは週末レジャーの交通手段としては致命的に使いにくいですね。

一方、カーシェアは、24時間いつでも貸し出し返却ができるものの、なんとなく「短距離、短時間で借りるもの」で「長距離、長時間では割高」なイメージがあり、今までスキーやスキー場近辺でクルマを使いたい時は、新幹線駅近くのレンタカー営業所で借りていました。

でもそれって本当か?と思い、今年のゴールデンウィークは、東京からカーシェアで往復してみました。昨年のゴールデンウィーク(新幹線+レンタカー)と費用を比較した表がこれです。
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総費用では、実はカーシェアの方が安いです。ただし、新幹線はえきねっと15%オフの2名で計算してるので、これが35%オフなら接近しますし、1名なら逆転します。

もちろん新幹線は運転しなくていい、時間が読める、などのメリットも大きいですし、ETCの休日割が復活するか否か、ガソリン代は変動が大きいものですから、あくまで参考になればと思います。

 
 

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ニッサン車特集第二弾は世界初の量産電気自動車、リーフの二代目。私としてもフル電動車は初めての経験です。

走り出してまず感じたのは「静かだなー」ということですね。エンジン音がしないぶん、内装のキシミ音がしたり、補器類からノイズが耳につきそうですが、そういった低級なノイズが全然しません。ロードノイズも抑えられてるし、エアコンの音も静かです。これは一朝一夕には真似できないですね。「電気自動車は構成が単純だから既存自動車メーカーの競争力が低下する」なんて言う人がいますが、そんな事はないなー!と思いました。あと、オーディオの音がいいです。せっかく静かなんだからいい音で聴きたいですよね。
乗り心地も快適です。ボディの下で足がよく動いてとてもフラット。車高も着座位置も乗用車としては高い(低めのSUVくらい)のに、不快なロール感もありません。これは電気自動車ならではの重心の低さも効いてるのかもしれません。

電気自動車となると、ゼロ回転からトルクを発生させるモーターならではの出足の良さを期待しますが、エコモードだとそれは裏切られます。電気なんてガソリンに比べれば安い物なので、航続距離が欲しい時以外はオフにしないと(違う意味で)もったいないです。

加速をしたら減速することになりますが、このクルマは2つの方法を選ぶことができます。
一つは普通のAT車と同じ、ブレーキペダルで減速し、クルマを止める方法。もう一方は、CMでもプッシュしている「eペダル」。アクセルペダルを緩めるだけでブレーキがかかり、そのまま(ブレーキペダルを使わず)停止までできる仕組みで、これらはスイッチで切り替えることができます。
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前者の場合は、全く普通のクルマと同じ感覚で運転できます。クリープ現象も再現されていますし、アクセルを離した時の減速感も「いつもの感じ」です。ブレーキペダルはストローク感が乏しく、ゴムの塊を踏んでいる様な感覚で、踏み始め制動感も不足気味なので少しヒヤッとします。おそらくペダルを踏んでも摩擦ブレーキは停止直前まで使われず、モーターの回生ブレーキでその感触を再現する仕組みだと思いますが、同じ仕組みでも「摩擦感」をだしているハイブリッド車の先例はあるので、ここはもう少し頑張ってほしいです。

後者の「eペダル」ではアクセルを離すと、ブレーキを踏んだような強めの減速があります。停止位置に向かっては、ブレーキの「踏み加減」でなく、アクセルの「離し加減」で調整する事になります。足首の運動だけみれば逆になるので戸惑いそうですが、そうでもないです。よく考えてみると上り坂のAT車と同じなんですよね。
これは慣れるととても楽で、特に加速するとすぐに前走車に追いつくような流れの悪い時や、細くてカーブの多い裏道に向いてます。

ただ、前者の「普通の運転方法」でも、同じくらい楽になるチューニングはある気がします。そうなると何のための「eペダル」?になりますが「加速も制動も一つのデバイスでできる」という電気自動車の仕組みに対しては素直かつシンプルなので、捨てがたいですね。

そしてこのクルマ、完全自動で車庫入れしてくれます。スタートするのに何ステップか操作が必要ですが、簡単です。右側でも左側でも、両側に駐車車両がいようとも、スルスルと必要なら切り返しも使って上手に車庫入れする様は驚異的です。ちょっと斜めだったりしますが。
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作動中は「周囲の安全を確認して下さい」とアナウンスが流れますが、自分がやっていない運転に注意をくばる、というのは意外と難しいです。また、極端に狭い駐車スペースだと障害物があると判定して途中でギブアップすることもあり、その後はドライバーが引き継ぐのですが、他人が投げ出した車庫入れって結構難しいです。
以上のように完璧なシステムではありませんが、想像以上にいい仕事をしてくれるので、これがついてるなら自分で車庫入れはしないですね。
先述の「eペダル」と併せて考えると、もはや丸いハンドルと2つのペダルではかえって運転を難しくしていて、むしろジョイスティックとか3Dマウスひとつで運転する方が良い気すらしてきました。


細かいところですと、ルームミラーはデジタルと従来通りの鏡を切り替えることができます。デジタルはノートのような複雑さがなくシンプルなものです。こちらがデジタルミラー。
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こちらが従来通りの鏡。
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デジタルは後続車が大きく見えて良いのですが、目の焦点をミラーに合わせなければならないので老眼にはきついです(鏡の場合は映った実像に焦点をあわせるので遠い)。切り替えられるようにしたのは偉いです。

今回50km/h、3〜4時間ほど運転しましたが、静かで快適な乗り心地、安定感のある走りは、ものすごく高級なクルマに乗ってるような感覚がありました。低重心や静粛性といった電気自動車ならではの素性の良さだけではない仕上がりの良さがあり、ニッサンの底力を感じました。そして自動パーキングや、(今回割愛しましたが)運転支援システムも熟れたもので、「実用的な走行距離の電気自動車をつくりました」だけではない「未来の運転を体験させてくれるクルマ」だと思います。

今回、日産自動車直系の「NISSAN e-シェアモビ」を利用しました。

普通のカーシェアで長時間借りた時の「距離料金」がないのは魅力的(ガソリン代がないので当たり前と言えば当たり前)ですが、予約した時間よりも早く返却しても料金の減額がない、というのはちょっと使いづらいですね。あとは「チョイ乗り」に適した小型の車を増やして欲しいです。
 
 

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レンタカーやカーシェアで出会うことがなく、個人的にもあまり縁がなかったニッサン車を続けて借りました。第一弾は先代ノート。デビューは2012年、すでに10年前の車ということで、先日のヤリスハイブリッドのレポでも述べた「技術の進歩」を感じる結果となりました。

乗りこんだ第一印象としては、まず内装がチャチで安っぽい。
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ベーシックカーはコストをかけられないのは当然で、それをシンプルな良さに昇華したデザインというのがある思うのですが、それとは真逆の、安っぽさをわざわざ強調してしまってる印象です。質感とカタチの選び方が良くないのかな。

走り出すとその印象は変わります。ボディはとてもシッカリしていてキシミ音もしないし、捩れも感じません。遮音がいいのか元々ノイズ源を抑え込んでるのか静粛性も高いです。

しかし幹線道路にはいるとかなり残念です。
まず出足がトロく、アクセルを踏んでも思うように加速しません。その割にジッと我慢して踏んでるといつの間にかスピードにのってます。そこでブレーキを踏んでもペダルの踏み代が大きすぎて、かなり奥まで踏み込まないとスピードが落ちず怖い思いをします。その割に効き始めると急に制動力が立ち上がります。走行距離もいってたので、バッドが減ってるのかもしれませんが、とにかく加減速については、いちいち直感に背くクルマです。

ルームミラーはデジタル式を奢ってますが、やたら画面が分割されていて、何が映っているのかピンとこず、やはり直感的ではありません。バックモニターなら普通ににナビ画面に出せばいいのであって、お金のかけ所が間違ってると思います。だったらチャチな内装の質感を上げて欲しい。
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初めにも触れましたが、基本設計はすでに10年以上経過しているので、どうしても厳しい評価になってしまいます。言い換えれば、人の直感に沿って動くようにするという点でクルマの進歩の凄さを感じました。こういうのは「こう図面を引けばこうなる」という単純な方程式がないと思うので、作り手の努力と積み重ねの力を感じますね。

とはいえ、カーシェのユーザーとしては、所有するしがらみと無縁なのがメリットなので、運営には古いクルマは更新して欲しいし、ユーザーはわざわざ古いクルマを選ばないよう気をつけたいですね。


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少し時間がたちましたが、ゴールデンウィーク中にGRでないヤリスで長距離と峠道をたくさん走ることができたのでレポしたいと思います。

ヤリスのショートインプレとGRヤリスは以前紹介してるので、一読いただけると幸いです。




結論から言えば、期待どおりの仕上がりであるばかりでなく、価値観が問い直されるような凄いクルマでした。

パワーはエンジン91馬力にモーター80馬力、これで車重は1.3トンほどなので遅いはずがありません。アクセルの踏み加減に対して遅すぎず速すぎずナチュラルに加速してくれます。
ハンドリングはステアリング操作に遅れることなくノーズが入ってくるのは先代ヴィッツやGRヤリス譲り。気持ちいいだけでなく、安心感も高いです。リアの追従はややモサっとしてますが、気になるのはS字カーブを素早く切り返した時くらい。スポーツカーじゃないのでこれでぜんぜん及第点でしょう。
高速ではやや腰の高さを感じますが総じて快適で、適度な保舵力でラクチンにまっすぐ走ります。
どんなシーンでも、ドライバーの操作に対し直感に背くことなく、イメージ通りに動いてくれるクルマです。

このクルマ、私が90年代半ばまでに乗ったどんなクルマよりシンプルなメカニズムで、クラスが下にもかかわらず、明らかに思い通りによく曲がり、よく止まり、速くて快適です。リアサスなんてトーションビームですから、独立懸架ですらありません。この30年の間、シャシーやサスペンションに飛躍的な技術革新があったわけでもないのに、この進歩は凄いと思います。

一方で、電子的な運転支援機構には飛躍的な革新がありました。このクルマには、アダプティブクルーズコントロールや、レーントレースアシストが装備されており、実は今回初めて使ってみました。

クルーズコントロールについては、下手なドライバーを助手席から見守るようにヤキモキしてかえって疲れてしまうのでは?という先入観があったのですが、そんなことはありませんでした。
「クルマの流れを少し上回る速度に設定する」というコツは必要ですが、ギクシャクすることもイライラすることもなく、スムーズに前のクルマについていってくれます。原理的にはそんなに先の流れまで読んでないはずなのに大したものです。
レーントレースアシストは、生真面目にセンターをキープしようとします。隣車線に大型車がいると無意識に反対側に寄ってしまったりしますが、その程度でも修正を入れてきて、その感触はワダチにハンドルを取られたような感じで、気持ち良くはないのですが、誰でも知ってる感触に似せてあるのはなるほどー、と思いました。

こうした運転支援機能を使って高速道路を走るのは、運転しているというより、大型船の船長になって操舵手に指示を出してるみたいな感じで不思議な安心感があります。

帰り道はがっつり渋滞にはまり、車を手放して以来1年ぶりの5時間超えの連続運転でしたが、あまり疲れを感じませんでした。とくにシートは秀逸で、練馬インターを降りてから「そういえばお尻が痛いな」と感じた程度。シート形状だけでなく、生地の選択が適切でドラポジが崩れないんですね。
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ちなみにGRヤリスとはシートの厚みが違い、やや着座位置が高く、前方視界も良いです。

荷室は先代ヴィッツとほぼ変わらず、リアシートを倒せば170センチくらいのスキー板が斜めに積めます。
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このクルマは、「走る曲がる止まる」という性能と、運転の楽しさや使い勝手、快適さといった価値が絶妙なバランスで、かつそれぞれが高いレベルにあります。ただ車体が小さいだけで、その出来栄えば車格=クラスを超えたものがあると思います。ベーシックカーは我慢を強いられるもので、クラスがあがるほど満足度が高くなる、という常識を覆しつつ、いわゆる「小さな高級車」とも違います。我々が漠然と抱いている「クルマというものの価値観や尺度」について、一度立ち止まって考え直すことを提案されている気さえしてきました。これはほんとうに凄いクルマです。
 
 
 
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