毎年恒例の紅葉ツーリング、今年からはレンタカーになります。せっかくなので、以前から興味があったGRヤリスをトヨタレンタカーで借りてみました。とはいっても現状選べるのは4WDターボのRZではなく、FFに普通のヤリスと同じエンジンのRSです。山道を中心に300キロくらい乗った感想をいいところとイマイチなところにわけてご紹介します。
いいところ
専用の3ドアボディ
最近のハッチバック車は5ドアボディしか生産されない事が多く、ポロやゴルフのGTI、メガーヌのRS、スイフトスポーツでも例外ではありません。そんな昨今3ドアモデル自体が貴重です。ノーマルのヤリスもこの代から3ドアはなく、GRヤリス専用になります。いくらWRCホモロゲモデルといえど凄い!それも単に3ドア化したわけではなく、プラットフォームも変更(後半部のみカローラ系から流用)されており、トヨタの本気が感じられます。個人的にはどんなカッコいいクルマも後席ドアがあると台無し、という趣味なのでこれは好きです。
萌えるサッシュレスドア
当然ドアパネルも専用ですが、何故かサッシュレスになってます。個人的にはドアにサッシュがあるとすごく萎える(例外はカウンタックだけ)ので、これは萌えます。機能的にはあまりメリットがない気がするので謎です。
ポルシェみたいなハンドリング
コーナーの入り口で、ノーズがステアリングに同期してるかの如く遅れなく入ってくるのはまさにスポーツカーです。ターンインでタイヤの仕事ぶりが掴みやすく、借りてすぐにボクスターと同じ感覚で山道を走れちゃったのは驚きです。それでいてパーキングスピードではスルスルに軽い。たしかに車庫入れの時のハンドルの重さが良い、なんて意味のない趣味嗜好かも。
ミッションとエンジンのマッチングが絶妙
ミッションはCVTに擬似的に10段のマニュアルモードをつけたモノで、乗る前は「は?ギミックww」と思っていたのですが、全くの誤解でした。エンジンは標準のヤリスと同じ120馬力しかないのですが、これを使い切れる絶妙な組み合わせです。
小排気量エンジンでも高回転を維持すれば速く走れるとはよく言いますが、3速ではパワーがでない、2速では吹けきってしまったりパーシャルを保てずギクシャクしたりと、実際には難しいものです。
このクルマのパワーだと、山道では低速側半分の変速比しか使いません。それが5段に切られているので、いわば「超ローギアのクロスミッション」になります。これをパドルで小気味よくシフトしながらエンジンのパワーを絞り出して走るのはすごい楽しいです。逆にボクスターで同じことをしようとすると途方もないスピードになってしまうので、やりたくてもできません。これはCVTと電子制御という現代技術ならではで、未来のスポーツドライビングを示唆していると感じました。
改善された内装
ヤリスでは真っ黒だった内装ですが、程よくシルバーのパーツが奢られており、操作部材の視認性が上がっています。ドラボジがピタッと決まるのはノーマルモデルと同等。
コーナリング中に左膝をセンターコンソールに押しつけて体を支えることもできます。シートは長時間乗っても疲れません。ノーマルよりもホールド感も向上してますが、座面はもう少し柔らかくてもいいかな。
良いところを総括すると、乗る楽しさはボクスターに匹敵(ある面ではそれ以上)で、これが265万円=ケイマンの6割引きで買えるというのは脅威というか、自分の価値観が揺さぶられる思いです。
イマイチなところ
質感に欠ける音と振動
エンジンは普通のヤリスの三気筒なので音も振動も期待するのは酷ですが、とくに回してない時のブォーという音はいただけません。また遮音も十分ではないので、ロードノイズの侵入も大きく、ヤリスで大きく改善された静粛性はGRヤリスにはあてはまりません。
ドアの開閉音もボディの剛性感のわりに安っぽいです。アルミ化されたせいかも知れませんが、ちょっと惜しい。
旋回中のドラマが足りない
コーナリングを維持してる時のタイヤからステアリングへの入力は穏やかです。情報が足りず怖いなんて事はありませんが、ここまでスポーティだと欲が出て、緊張感とかトキメキが欲しくなります。
カッコいいけど惹かれないデザイン
専用3ドアはサッシュレスだし、ルーフラインは低くてキレイだし、フェンダーも張り出してるし、カッコいいポイントは多いのに「欲しい!」と思えないのは何故だろう?
リアウイングつけてもっと「特別感」をだすか、逆にエアダムもやめて5ドアにして、ノーマルと見分けがつかないくらいシンプルにしたほうがいいかも。白黒赤というボディ色も意図がよくわからなくてもったいないですね。
回転数を合わせてくれないマニュアルモード
さんざん褒めたミッションですが、なぜかマニュアルモードでオートブリッピングをしてくれません。自分でアクセルを煽ってシフトダウンしないと、シフトショックが大きく、短いホイールベースもあってピッチングがすごいです。コーナー手前では一般的な2ペダルMTのように、ブレーキングしながら適当にパンパンとシフトダウンするのではスムースに走れません。速度の低下にあわせて(むしろ少し遅れ気味に)シフトダウンする必要があります。これは惜しい。
メモリー機構のないシートリクライニング
後ろのシートから荷物を出すためにシートを前に倒すとリクライニングがリセットされちゃいます。後席に座ることはほぼないでしょうが、3ドア車では荷物置き場としてとても便利なので、こんなところをケチって欲しくなかった。ちなみにトランクはこんな感じです。
ノーマルのヤリスより底が高くフラットですが必要にして十分。
左前方の視界とカーナビ
ルーフの低さと安全運転支援システムのためかルームミラーの位置が低く、カーナビは高い位置にあるので左前方の視界が上下に狭いです。立体駐車場のスロープとかでは気になりそう。
カーナビの操作性があまり良くないのはノーマルと同じ。この車にはApple CarPlayが搭載されており、以前愛用していたYahooカーナビを試してみましたが、目的地の新規登録ができない?など、操作性は劇悪でした(原因がCarPlayにあるのかアプリにあるのか、ナビによるのか、はわかりませんが)。
イマイチなところは色々あり、差し引くと満足感はボクスターの6割くらいでしょうか。でもこれらの多くは車重や価格と引き換えなので改善すると、価格も同じくらいになるんでしょう。それはそれで違う気がします。
というわけで、走りの楽しさに対して途方もなくコストパフォーマンスの良いクルマです。しかし余計なお世話かもしれませんが、このクルマを買う人がちょっとイメージできません。走りの良いクルマが好きで、後ろのドアを割り切れる人ならもう130万円払って4WDターボのRZを買うんじゃないのかなあ。逆に価格を求める人には3ドアはつらいんじゃないだろうか。後ろのドアがあれば買えるのに、という人は多い気がします。
強いて言えば「楽しい車が欲しい新社会人」でしょうか。そういう人がいれば是非お勧めしたいクルマですが、絶滅危惧種だろうなあ。RZだけでもホモロゲーションの25,000台はクリアできると思うので、あえてこのRSを世に出したことにトヨタのメッセージを感じますね。
いいところ
専用の3ドアボディ
最近のハッチバック車は5ドアボディしか生産されない事が多く、ポロやゴルフのGTI、メガーヌのRS、スイフトスポーツでも例外ではありません。そんな昨今3ドアモデル自体が貴重です。ノーマルのヤリスもこの代から3ドアはなく、GRヤリス専用になります。いくらWRCホモロゲモデルといえど凄い!それも単に3ドア化したわけではなく、プラットフォームも変更(後半部のみカローラ系から流用)されており、トヨタの本気が感じられます。個人的にはどんなカッコいいクルマも後席ドアがあると台無し、という趣味なのでこれは好きです。
萌えるサッシュレスドア
当然ドアパネルも専用ですが、何故かサッシュレスになってます。個人的にはドアにサッシュがあるとすごく萎える(例外はカウンタックだけ)ので、これは萌えます。機能的にはあまりメリットがない気がするので謎です。
ポルシェみたいなハンドリング
コーナーの入り口で、ノーズがステアリングに同期してるかの如く遅れなく入ってくるのはまさにスポーツカーです。ターンインでタイヤの仕事ぶりが掴みやすく、借りてすぐにボクスターと同じ感覚で山道を走れちゃったのは驚きです。それでいてパーキングスピードではスルスルに軽い。たしかに車庫入れの時のハンドルの重さが良い、なんて意味のない趣味嗜好かも。
ミッションとエンジンのマッチングが絶妙
ミッションはCVTに擬似的に10段のマニュアルモードをつけたモノで、乗る前は「は?ギミックww」と思っていたのですが、全くの誤解でした。エンジンは標準のヤリスと同じ120馬力しかないのですが、これを使い切れる絶妙な組み合わせです。
小排気量エンジンでも高回転を維持すれば速く走れるとはよく言いますが、3速ではパワーがでない、2速では吹けきってしまったりパーシャルを保てずギクシャクしたりと、実際には難しいものです。
このクルマのパワーだと、山道では低速側半分の変速比しか使いません。それが5段に切られているので、いわば「超ローギアのクロスミッション」になります。これをパドルで小気味よくシフトしながらエンジンのパワーを絞り出して走るのはすごい楽しいです。逆にボクスターで同じことをしようとすると途方もないスピードになってしまうので、やりたくてもできません。これはCVTと電子制御という現代技術ならではで、未来のスポーツドライビングを示唆していると感じました。
改善された内装
ヤリスでは真っ黒だった内装ですが、程よくシルバーのパーツが奢られており、操作部材の視認性が上がっています。ドラボジがピタッと決まるのはノーマルモデルと同等。
コーナリング中に左膝をセンターコンソールに押しつけて体を支えることもできます。シートは長時間乗っても疲れません。ノーマルよりもホールド感も向上してますが、座面はもう少し柔らかくてもいいかな。
良いところを総括すると、乗る楽しさはボクスターに匹敵(ある面ではそれ以上)で、これが265万円=ケイマンの6割引きで買えるというのは脅威というか、自分の価値観が揺さぶられる思いです。
イマイチなところ
質感に欠ける音と振動
エンジンは普通のヤリスの三気筒なので音も振動も期待するのは酷ですが、とくに回してない時のブォーという音はいただけません。また遮音も十分ではないので、ロードノイズの侵入も大きく、ヤリスで大きく改善された静粛性はGRヤリスにはあてはまりません。
ドアの開閉音もボディの剛性感のわりに安っぽいです。アルミ化されたせいかも知れませんが、ちょっと惜しい。
旋回中のドラマが足りない
コーナリングを維持してる時のタイヤからステアリングへの入力は穏やかです。情報が足りず怖いなんて事はありませんが、ここまでスポーティだと欲が出て、緊張感とかトキメキが欲しくなります。
カッコいいけど惹かれないデザイン
専用3ドアはサッシュレスだし、ルーフラインは低くてキレイだし、フェンダーも張り出してるし、カッコいいポイントは多いのに「欲しい!」と思えないのは何故だろう?
リアウイングつけてもっと「特別感」をだすか、逆にエアダムもやめて5ドアにして、ノーマルと見分けがつかないくらいシンプルにしたほうがいいかも。白黒赤というボディ色も意図がよくわからなくてもったいないですね。
回転数を合わせてくれないマニュアルモード
さんざん褒めたミッションですが、なぜかマニュアルモードでオートブリッピングをしてくれません。自分でアクセルを煽ってシフトダウンしないと、シフトショックが大きく、短いホイールベースもあってピッチングがすごいです。コーナー手前では一般的な2ペダルMTのように、ブレーキングしながら適当にパンパンとシフトダウンするのではスムースに走れません。速度の低下にあわせて(むしろ少し遅れ気味に)シフトダウンする必要があります。これは惜しい。
メモリー機構のないシートリクライニング
後ろのシートから荷物を出すためにシートを前に倒すとリクライニングがリセットされちゃいます。後席に座ることはほぼないでしょうが、3ドア車では荷物置き場としてとても便利なので、こんなところをケチって欲しくなかった。ちなみにトランクはこんな感じです。
ノーマルのヤリスより底が高くフラットですが必要にして十分。
左前方の視界とカーナビ
ルーフの低さと安全運転支援システムのためかルームミラーの位置が低く、カーナビは高い位置にあるので左前方の視界が上下に狭いです。立体駐車場のスロープとかでは気になりそう。
カーナビの操作性があまり良くないのはノーマルと同じ。この車にはApple CarPlayが搭載されており、以前愛用していたYahooカーナビを試してみましたが、目的地の新規登録ができない?など、操作性は劇悪でした(原因がCarPlayにあるのかアプリにあるのか、ナビによるのか、はわかりませんが)。
イマイチなところは色々あり、差し引くと満足感はボクスターの6割くらいでしょうか。でもこれらの多くは車重や価格と引き換えなので改善すると、価格も同じくらいになるんでしょう。それはそれで違う気がします。
というわけで、走りの楽しさに対して途方もなくコストパフォーマンスの良いクルマです。しかし余計なお世話かもしれませんが、このクルマを買う人がちょっとイメージできません。走りの良いクルマが好きで、後ろのドアを割り切れる人ならもう130万円払って4WDターボのRZを買うんじゃないのかなあ。逆に価格を求める人には3ドアはつらいんじゃないだろうか。後ろのドアがあれば買えるのに、という人は多い気がします。
強いて言えば「楽しい車が欲しい新社会人」でしょうか。そういう人がいれば是非お勧めしたいクルマですが、絶滅危惧種だろうなあ。RZだけでもホモロゲーションの25,000台はクリアできると思うので、あえてこのRSを世に出したことにトヨタのメッセージを感じますね。
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