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今回はカーシェアでなかなかな予約が取れないマツダ3です。

結論から言えば、これは今まで借りたクルマのなかで一番のお気に入りです。大まかに言えば、先日借りたマツダ2を走りを含めた質感を向上させた感じなのですが、それだけではない魅力があります。

まず、ドラポジはステアリングもペダルもピタッと決まります。低めの着座位置も私好みです。
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エンジンは快音とは言うほどではないですが気持ちよく回ります。ステアリングはややザラっとしたフリクションを感じますが、しっかりとした手応えがあり、クルマの動きがきちんとフィードバックされてきます。ブレーキもいわゆるカックンではありません。
走る曲がる止まるが思い通りに決まるので、低めのアイポイントと相まってとてもスポーティ。街中のチョイ乗りでも気持ちよく乗れます。
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ここまで気持ちいいとパドルシフトが欲しくなるし、マツダ特有の逆向きマニュアルがマジ惜しいです。逆に言えばそんなギミックなくても楽しいでしょ?という自信かもしれません。

外観デザインはそれぞれの好みなのであまり触れませんが、このクルマの特徴でもある、フェンダーと連続したCピラーの造形はやはりすごいですね。
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フェンダーとCピラーにはそれぞれ別のデザイン上の制約があります(フェンダーはタイヤやサスペンション、隣接するドアの内容物。Cピラーは隣接するリアドアのガラスが下にスライドして開く必要がある)。これを連続した滑らかな曲面で同時にクリアするのは非常に難しいので(多くのクルマがそうであるように)間に段差を設けて別々の曲面とし、それぞれの制約をクリアするのが普通です。この難題に挑み、かつ美しくまとめたマツダデザインの力量と熱意は大したものだと思います。

しかし。美点があれば、それと引き換えに色々な弱点があるのは世の常で、このクルマも例外ではありません。

着座位置はシートリフターを1番上にしても低めで、背の低い人には前方視界が厳しいかもしれません。またブレーキはリニアな分、踏力は必要です。ステアリングも手応えやレスポンスと引き換えに軽くて楽チンとは言えません。

つまりこのクルマ、スポーティである分、ラクはさせてくれません。もちろんスパルタンで疲れるほどはないですが、もっと楽に普段使いできるクルマはいくらでもあります。

視界で言えば、致命的に斜め後ろが見えません。986から乗り換えた時あまりこ後方視界の悪さに驚いた981ボクスターより悪いかも。リアドアがあるにもかかわらずです。
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これがCピラーのかっこよさとトレードオフならとても残念な事です。

このクルマはとても個性的でカッコよく、楽しく乗れる反面、ユーザーに我慢を強いる点が多すぎる気がします。マツダのような中堅メーカーがトヨタ的な80点主義に流されず、個性にふった車作りをするのは正しいです(実際売れているようですし)。
しかしマツダ3のように普段使いされる車種は、好きで買った本人以外の人(例えば家族)がハンドルを握る事も多いと思います。その人たちが果たして、次もマツダ車を買うことに同意してくれるでしょうか?マツダの先行きがちょっと心配になります。カッコよくて楽しいけど、我慢のいらない(または気にならない)答えもあると思うのですが。

電装関係に目を移すと、新しい車らしい先進性があります。特に素晴らしいのはバックモニター。画像は鮮明で歪みが少なく、ガイドのラインも正確です。後方視界の悪さを完全に補うものではありませんが、かなりあてになります。私がいままで経験した中でベストですね。
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カーナビも使いやすいです。メニュー階層とジョグダイヤルの操作に一貫性があり、初めてでもすんなり使えます。目的地の設定はもちろん、スマホのBluetooth接続のような頻度の低い(ゆえに面倒なことが多い)操作もすぐにできました。右ハンドルだと避けられない不器用な左手での操作もストレスになりません。タッチパネル式よりずっと良いです。
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面白いのはフロントガラスに投影されるヘッドアップディスプレイ。車速だけでなく、カーナビの案内や後方接近車のアラームも表示され、かなりの未来感です。ただし結局はここを注視すると前方には焦点が合わないので、安全運転への寄与はイメージほどではないかも知れません。
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このようなギミックの新しさがスポーティな乗り味と絶妙にマッチしていて、「また借りたい」と思わせる不思議な魅力のあるクルマです。にもかかわらず料金はベーシッククラス(アクアやマツダ2などと同じ)なので、かなり先まで予約が埋っているのも納得できます。


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