今週は立て続けに2車種借りました。同じようなクラスを比べると、カーシェアならではのクルマの評価軸が見えてきました。
まずはマツダ2。昔のデミオですね。
先日借りたプレマシーと比べると、ステアリングなど操作系は軽いですが、手応えの良さや反応のナチュラルさは共通しています。
また、ヒップポイントはやや高めな割にタイヤの上に座っているような不安定さはなく、ドラポジも自然に決まります。楽ちんさだけではない、直感的にクルマを動かせる乗り易さを感じます。
荷室は少し深さがあるので、荷物がズッコケません。ワゴンならフラットさが求められますが、日常使いするコンパクトカーはこれが正解だと思います。
内装のデザインはシンプルですが質感は高いです。コストが厳しいであろうこのクラスで、納得感のあるお金のかけ方だと思います。
走りの質感も、エンジン音の音質はクラス相応ですが、それ以外は耳障りなノイズもなくスムースで、安っぽさを感じません。
惜しいのはミッション。1速と2速の間が離れているのか、そこで不自然に車が飛び出る感じがありました。あと、マニュアルモードのパターンはやはり逆ですね。短めのレバーは安さを感じさせず良いのですが。
総じてシンプルだけど内装も走りも質感が高く「大衆車かくあるべし」というクルマです。所有欲でなく機能のためにお金を払うカーシェアユーザーの視点でも「大事な所にお金をかけている」感じがして、好感が持てます。
もう一台はアクア。言うまでもなくトヨタ最小のハイブリッド専用車です。深夜に急用のため借りたので、残念ながら画像はありませんが、首都高での走りも堪能できました。
ヒップポイントがやや低めのドラポジは私の好みですが、シートベルトの高さ調整がなく、ベルトが鎖骨に触れるのが気持ち悪いのが難点でした。
特筆すべきはクラスを超えた走りの良さ。重心が低く、コーナーを不安なくクリアできます。加速の良さはさすがハイブリッド。合流車線の短い首都高でも不安ない速度まで加速できます。
一方で質感は高くありません。たしかにモーター走行中は静かですし、エンジンが始動してもクルマに不自然な動きは全くありませんが、問題はエンジン音。音質、音量ともに耳障りで、マフラーを改造したバイクが並走してるのかのようです。また、停止するたびに何かのアクチュエーターの作動音が聞こえるのも気になります。こういう原因のはっきりしている雑音は対策しやすいと思うので、「やるべき事をやってない」コストダウンが透けて見えてしまいます。
内装も普通ならクッション性があるところが硬いプラスチックだったりして質感はイマイチ。その割にシルバーの塗装部品が奢られてたり、キーをオフするたびにメロディが流れたりと、お金の使い道に疑問を感じます。
このクラスでコストがかかるハイブリッドを実現したのは凄いですし、それを理解すればトレードオフで質感が落ちるのも納得です。
しかしそれは自分でガソリン代を払うレンタカーかマイカーでの話。ガソリン代が料金に含まれるカーシェアでは、燃費の良さはユーザーメリットになりません。払うコストは変わらないのに、質感の低いガチャガチャうるさい車をあてがわれるのは腑に落ちない話です。モーターの力を借りた加速の良さも、近距離の買い物など、カーシェアの典型的な用途ではあまり享受する機会もないでしょう。
ハイブリッド車のランニングコストの低さは運営会社にはメリットです。車両価格が高額だとしても、カーシェアに使われる車両の走行距離を考えれば充分ペイできるのではと思います。
一方でユーザーにとっては(少なくともアクアをマツダ2と比較した限りでは)あまりメリットはなく、積極的にハイブリッド車を選ぶ理由はなさそうです。
ハイブリッドの代表車種であるプリウスや、燃料代が限りなく安いEVでも同じ事がいえるのか、機会があれば試してみたいところです。
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