さる5月17日、井上昌己さんのライブが無観客で無料配信されました。
昨今のコロナ騒動で、中止になったライブを配信して代替するのは珍しくありませんが、今後のライブ配信のありかた、もっと言えば音楽ライブのありかたに一石を投じる試みだったので取り上げたいと思います。
通常の形態で企画されていたこのライブを中止と判断した際、運営側(ファンの間では井上昌己事務局と呼ばれます)は「中止だとホールのキャンセル料もかかるし、そのまま無観客でやった方がまだ赤字額がマシ」という理由で、無観客、無料配信での開催を決定します。しかしただの配信ではありません。
さらにチケット購入者には、返金について次の選択肢を提示してくれました。
かくて配信が始まると、無観客であることを忘れさせる圧倒的な歌唱と演奏。配信の音質、画質も素晴らしく(フルHD1080+60P)、映像的にも後から編集したかのようなダイナミックなスイッチングに引き込まれました。
視聴者数もあっと言う間に会場キャパの2倍を超える1000人を突破。チャットのコメントをみると、その多くが「初めてライブをみた」「遠くだからライブに行けなかった」人たちでした。
さらにライブが盛り上がると、Youtubeのスーパーチャットによる「投げ銭」が続々と集まります。中には万単位の金額を投じたファンもいました。
収録されたライブ映像では感じることのできない不思議な充実感を残しライブは終了。
この配信は、会場のキャパを超える多くのファンに、ライブ同等の音楽体験を届けることに成功したのはもちろん、それだけではない大きな成果があったと思います。
まず、会場に足を運ぶことが難しいとか、そこまでの興味は無い等の「潜在的なファン」の掘り起こしに成功したこと。
次に、配信であってもファンが自発的に課金に応じ、収益が上げられたこと。
つまり質の高い配信には、画面を通しても「今演っているステージにリアルタイムで参加している」という価値があり、リアルなライブの代替だけではなく、観客の体験としても、運営の収益としても、それを補完し、拡張できる可能性があるのです。
そして、その可能性を証明し、音楽業界に知らしめた影響は大きいと思います。これが最大の成果かもしれません。今後多くのフォロワーが出てくるでしょう。
近々、緊急事態宣言が解除されても、いままで通りのライブを開催するのは難しいと思われます。いわゆる「密」を防ぐため、観客数を本来のキャパの1/2とか1/4に抑えざるを得ないでしょう。その収益減を同時配信の課金で補うという開催スタイルが出てくるのではないでしょうか。
現在の配信ライブの課題の一つは、観客側の反応を発信する手段がチャットしかないことです。演奏だけではなく、会場全体を埋め尽くすどよめきを感じることもライブ体験の重要な一部ですし、やはり自分の声援や拍手はアーティストに届けたいものです。またアーティスト側も「みんなの顔が見たい」「声を聞きたい」と感じているのではないでしょうか。
もしこれが解決されれば、全く新しいライブ体験が生まれるかもしれません。例えば現在でも配信でライブを見ながら他のファンのチャットを読むのは今までにない面白さがあります。配信の参加者が加わることで会場の観客も盛り上がれるような仕組みが実現できれば、物理的なキャパシティを超えたマネタイズが可能になり、物販にかわる収益源になる可能性もあります。
この危機をきっかけに、リアルなライブ体験がアップデートされ、それが運営や演者にも経済的に還元されるような未来が訪れたら素晴らしいことだと思います。
昨今のコロナ騒動で、中止になったライブを配信して代替するのは珍しくありませんが、今後のライブ配信のありかた、もっと言えば音楽ライブのありかたに一石を投じる試みだったので取り上げたいと思います。
通常の形態で企画されていたこのライブを中止と判断した際、運営側(ファンの間では井上昌己事務局と呼ばれます)は「中止だとホールのキャンセル料もかかるし、そのまま無観客でやった方がまだ赤字額がマシ」という理由で、無観客、無料配信での開催を決定します。しかしただの配信ではありません。
- 伴奏はカラオケでなく生バンド。
- 照明と音響は本番ライブ並み。
- DVD収録と同等の数のカメラを用意し、生配信しながらスイッチング。
さらにチケット購入者には、返金について次の選択肢を提示してくれました。
- チケット代金全額返金(振込手数料も負担)
- 返金しない代わりにこのライブを収録したDVDを先行無料配布+特典映像をプレゼント。
かくて配信が始まると、無観客であることを忘れさせる圧倒的な歌唱と演奏。配信の音質、画質も素晴らしく(フルHD1080+60P)、映像的にも後から編集したかのようなダイナミックなスイッチングに引き込まれました。
視聴者数もあっと言う間に会場キャパの2倍を超える1000人を突破。チャットのコメントをみると、その多くが「初めてライブをみた」「遠くだからライブに行けなかった」人たちでした。
さらにライブが盛り上がると、Youtubeのスーパーチャットによる「投げ銭」が続々と集まります。中には万単位の金額を投じたファンもいました。
収録されたライブ映像では感じることのできない不思議な充実感を残しライブは終了。
この配信は、会場のキャパを超える多くのファンに、ライブ同等の音楽体験を届けることに成功したのはもちろん、それだけではない大きな成果があったと思います。
まず、会場に足を運ぶことが難しいとか、そこまでの興味は無い等の「潜在的なファン」の掘り起こしに成功したこと。
次に、配信であってもファンが自発的に課金に応じ、収益が上げられたこと。
つまり質の高い配信には、画面を通しても「今演っているステージにリアルタイムで参加している」という価値があり、リアルなライブの代替だけではなく、観客の体験としても、運営の収益としても、それを補完し、拡張できる可能性があるのです。
そして、その可能性を証明し、音楽業界に知らしめた影響は大きいと思います。これが最大の成果かもしれません。今後多くのフォロワーが出てくるでしょう。
近々、緊急事態宣言が解除されても、いままで通りのライブを開催するのは難しいと思われます。いわゆる「密」を防ぐため、観客数を本来のキャパの1/2とか1/4に抑えざるを得ないでしょう。その収益減を同時配信の課金で補うという開催スタイルが出てくるのではないでしょうか。
現在の配信ライブの課題の一つは、観客側の反応を発信する手段がチャットしかないことです。演奏だけではなく、会場全体を埋め尽くすどよめきを感じることもライブ体験の重要な一部ですし、やはり自分の声援や拍手はアーティストに届けたいものです。またアーティスト側も「みんなの顔が見たい」「声を聞きたい」と感じているのではないでしょうか。
もしこれが解決されれば、全く新しいライブ体験が生まれるかもしれません。例えば現在でも配信でライブを見ながら他のファンのチャットを読むのは今までにない面白さがあります。配信の参加者が加わることで会場の観客も盛り上がれるような仕組みが実現できれば、物理的なキャパシティを超えたマネタイズが可能になり、物販にかわる収益源になる可能性もあります。
この危機をきっかけに、リアルなライブ体験がアップデートされ、それが運営や演者にも経済的に還元されるような未来が訪れたら素晴らしいことだと思います。
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