おニャン子クラブ、モーニング娘。AKB48…いわずと知れた「メンバーが代替わりする女性アイドルグループ」ですが、この手のグループについて、私には仮説がありました。

仮説(1)
初期メンバーは個性豊かだが、グループがメジャーになってから参加するメンバーは個性が乏しい。


これは、初期メンバーが歌手やタレントといった多様な目標を持っているのに対して、グループがメジャーになってから参加するメンバーは、そのグループへの加入を目標としており、「それっぽい」人材が集まる傾向にあるから、と想像しています。もちろん人材を選ぶスタッフ側にも同じバイアスがかかるでしょうし、また、プロとしてパフォーマンスのレベルが上がることで、あらかじめ選別された人材(芸能事務所のレッスン生など)が集まるということもあるでしょう。結果的に突出したタレントがいなくなり、グループの活力を奪うリスクがあります。

仮説(2)
AKB48はファンに「選ぶ楽しさ」を提供するため、突出した個性よりも、レベルの揃った「粒ぞろい」感をねらって人選をしている。


AKBは秋葉原の専用劇場での公演活動をベースにしたグループです。これは、おニャン子やモー娘。のテレビというメジャーなメディアのからの「トップダウン」とは対局な、「ボトムアップ」または「草の根」というべき戦略です。いわゆる「アキバの地下アイドル」や地方発で全国区になったPerfumeなどの現象から、市場の主導権はメディアではなく、マニアックなファンにあることを見抜いた秋元康はやっぱり凄い。自らの成功体験に溺れず市場をきちんと見ているのですから。

マニアというものは、誰からも人気がある「テレビで目立つ可愛い娘や面白いヤツ」よりも、「自分だけのお気に入り」に愛着を感じるものです。実際に会場に足を運んだファンに、メディアのフィルターを通さず自分の目で選ぶ楽しさを提供するためにあえて「粒ぞろい」言い換えれば「同じような娘」を選んでいるのでは?というのがこの仮説です。あるいは仮説(1)のような轍を踏まないためにあらかじめレベルを揃えているのかもしれません。

さて、以上の仮説を証明する方法はありません。キャラクターや個性はもちろん、外見上の特徴を数値化し統計処理する事は難しい(大学のデザイン学科で研究をしている人がいます)からです。

でも何か代わりになる指標はないか?と考えて思いついたのが「身長」です。凄く乱暴な気がしますが、他にないから仕方ない。応援する女性アイドルを決めるにあたっては結構重要なファクターな気もしますし。

この3グループのメンバーの身長データをネットで集め、分析することにしました。
(私は統計の専門家ではないどころか、「確率統計」は一番苦手だったので、手法的に間違ってるかもしれません。まあ、遊びですから。)
おニャン子クラブ:「フライデー事件」で除名されたメンバーをのぞく。B組含む。n=49。身長データはおそらく当時の物が多い。

モーニング娘。:1期から10期まで、ただし身長不明な10期の2名をのぞく。n=31。身長データは活躍当時の物と最新の物が混じっていると思われる。

AKB48:チームA、K、Bの現役メンバー。n=48。身長データは最新の物が多い。

身長の数値は正しい物とします。まあ、体重やスリーサイズより信憑性はあるでしょう。

各グループ全体の身長の平均値と標準偏差は以下の通りです。

おニャン子クラブ(n=49)
平均(全体)   159.2857143
標準偏差(全体) 4.263035232

モーニング娘。(n=31)
平均(全体)   155.9870968
標準偏差(全体) 5.588625657

AKB48 (n=48)
平均(全体)   159.3333333
標準偏差(全体) 4.986036056

ちなみに日本の成人女性の平均身長と標準偏差は(年齢や年代による差がありますが、おおむね)
平均       158.5 ±0.3
標準偏差      5 ±0.2

標準偏差はばらつきの度合いです。大きければよりばらついていることになります。ここではこれを「個性の豊かさ」の指標と(無理矢理)します。

まず、仮説(2)は正しくないようです。最も個性が収斂しているのはおニャン子であり、AKBではありません。AKBの標準偏差は一般女性と同程度つまり、「電車の中でみかける女性達と同程度に個性的」で、アイドルとして選別されている事を考慮すれば十分個性豊かでしょう。一方、モー娘。の個性豊かさと身長の低さは面白い結果です。確かにそんな気もします。

AKBが「粒ぞろい」に見えるのは、私がおじさんになって今イチ興味が持てない事(※フロントメンバーくらいはわかります)と、衣装やダンスからの印象だと思われます。おニャン子は同じデザインで色違いの衣装、モー娘。は色や柄は同じで違うデザインの衣装なのに対し、AKBは色柄デザイン全てお揃いの衣装です。また、モー娘。のような「各自別々の踊りをする」というダンスパフォーマンスは少ない気がします。

さて仮説(1)の検証です。「初期メンバー」と「後期メンバー」をどこで区切るか?が問題ですが、独断と偏見で以下のように決めました。

おニャン子:あらかじめドラマ出演が約束されていた会員No25吉沢秋絵以降が「後期メンバー」
モー娘。:沢山のユニットが活躍していた4期までが「初期メンバー」
AKB:よくわからないのでざっくり真ん中あたり。3期までが「初期メンバー」

おニャン子クラブ
平均(初期メンバー)   159.2894737
平均(後期メンバー)   159.2833333
標準偏差(初期メンバー) 4.810393871
標準偏差(後期メンバー) 3.876603611

モーニング娘。
平均(初期メンバー)   156.5692308
平均(後期メンバー)   155.5666667
標準偏差(初期メンバー) 5.942077416
標準偏差(後期メンバー) 5.278994012

両者とも、後期メンバーのほうが標準偏差が小さいです。おニャン子の初期メンバーの個性豊かさが一般女性並みなのに対し、後期メンバーはおニャン子全体よりさらに個性が収斂しています。個性豊かだったモー娘。も後期メンバーだけみると、一般女性なみになっています(それでも他の2グループよりは個性豊かですが)。どうやら仮説(1)は正しいようです。ただ、AKBを見ると

AKB48
平均(初期メンバー)   158.76
平均(後期メンバー)   159.9565217
標準偏差(初期メンバー) 4.868942105
標準偏差(後期メンバー) 5.015612675

むしろ後期メンバーの方がわずかですが個性豊かになっています。これはブレイクしてから日が浅い事が原因だと思います。チーム4や研修生を加えるとまた違った結果になるかもしれません。今後の動向に注目です。

もともと仮説(1)はモー娘。の5〜6期あたりが加入してきた時に「なんかおニャン子の轍を踏んでるなあ」と感じた事がきっかけで思いついたものです。個性を身長で代用する、という無理矢理なやり方ですが、自分の直感の通りの結果になりちょっと驚いています。

以前タモリが「知識とは大人の娯楽」と言っていました。こんな検証をしても何の意味もなくバカみたいなのですが、自分としては面白かったのでまさに娯楽です。上手いことを言うもんですねぇ。
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