
六本木に「水戸岡鋭治の大鉄道時代展」と「メタボリズムの未来都市展」を観に行ってきました。
水戸岡鋭治さんは、主にJR九州の鉄道車両のデザインで知られてる方ですが、そればかりでなく、駅舎や商業施設、乗務員の制服、駅弁に至るまでありとあらゆる分野で活躍されています。今回の展示はその仕事の幅広さは十分に伝えているものの、個々の仕事に対する解説がありませんでした。
彼の仕事はビジュアル的な面白さだけでなく、鉄道やクライアント企業の置かれた社会的、経済的な状況を考慮した上で、徹底した顧客視点によるユーザー観察と彼ならではの旅や鉄道へのロマンティシズムから生まれるとても深淵でユニークなものなので、解説抜きの展示はちょっともったいないと思います。
「メタボリズム」とは中年太りの事ではなく、都市が経済発展とともに増殖する事です。1960年代、日本が戦後の復興期から高度経済成長へと移行する中で、爆発的に都市が増殖する事を前提として生まれた「日本発」の建築や都市計画の考え方です。
やはり「右肩上がり」を前提とした考え方なので、現代から見るとちょっと違和感を感じるのは正直な所です。とくに前期においては土地が持つ歴史やコンテクストへの配慮はなく、ひたすら構造的合理性を追い求めています。展示をみていた若いカップルが「なんか薄っぺらいよね」と感想いう感想を持ったのも仕方がありません。
ただし、増殖に対応出来るなら収縮にも対応出来るはず。必要に応じて継ぎ足しができるなら、不要になったら切り離せるはず。野放図に拡大した結果、時代にそぐわない構造を抱えざるを得ず、抜本的な構造改革ができないでいる現代の都市(というか社会)にたいする何らかのヒントが隠されているかもしれません。
また一方で、世界にはこれから増殖をする国や地域もあり、そういった地域でかつて日本の若い建築家達が行った自主トレ(メタボリズムの活動は政府や自治体からの依頼ではなく、自主的な研究発表が多い)が実を結んでいる例も紹介されています。近年は実現ベースで意欲的な提案やあっと驚く再開発が計画されている反面、こういった自主トレが目立たないのはちょっと気になるところです。

六本木、といえばトシヨロイヅカですが、ミッドタウンではなくヒルズだったので、ラトリエ・ジョエル・ロブションでケーキを買ってかえりました。カジュアルに楽しめる本格フレンチとして有名ですが、ケーキも美味しいです(ケーキしか食べた事ありませんが)。食事のデザートの範疇にはおさまりません。左がキャラメルのサントノーレ 、右がオペラのヴェリーヌ。特にオペラのヴェリーヌは何層にも重ねられたジュレのさらに底の方に隠し味があったりして美味でした。
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