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国立近代美術館に「パウル・クレー展」を観てきました。

事前に「混んでいる」との情報があり、最終日でもあったので、早めに出かけてきましたが、確かに混んでましたねえ。
展示の前半は狭い通路のような会場レイアウトになっていましたし、手帳サイズの小さな作品も多いので、よけい混雑していたのだと思います。
しかしながら、作品展数も多く後半の展示は分析的で興味深く観れたので、見応えのある展覧会でした。

多くの方がそうだと思いますが、絵を観る時は、絵から離れて全体を眺めたり、顔を寄せて細部を観察したりします。そうすることで、どのようなディテールが絵を構成しているか、とか、どのようなタッチやテクニックで描かれているか、それが全体の印象にどのような役割を果たしているか、を感じ取るわけですが、いずれにせよ、細部は全体を構成する部品であるのは変わりありません。
でもクレーの絵はちょっと違う気がしました。
細部が全体を構成する手段や部品なだけでなく、別の何か独立した何かとして描かれてると感じました。ちょっとした色のぼかしも、輪郭を際立たせる効果だけでなく、そのぼかし具合自体も彼が描きたかった事のように思えたのです。だからこそ彼は一度完成した絵を切り離して別の作品に仕立てたり出来たのかもしれません。

完成した絵の切断の他にも、素描を再構成して転写し着彩して作品に仕立てたり、色彩をモザイク上に分割したりと、再構成や分解という独特の面白さがクレーの作品にはありますね。これってIllustratorやPhotoshopといったアプリを使った作業を連想させます。もし彼が現代に生きていて、Macを使えたらどんな作品をつくったのかなぁ。

彼の絵はなにか底知れぬ思慮深さを感じます。しかし彼の思考が絵に置き換えられているよう論理性を絵から感じることはありません。彼は論理でなく、絵そのもので思考していたのかもしれません。

帰りはちょっと遠回りをして、エコール・クリオロのチーズケーキを買ってかえりました。
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ふんわりと軽く、淡白な味わい。日本人好みという感じですね。
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