なんか書くのが遅くなっちゃいましたが、ネイチャーセンス展
行ってきました。

全体的にはもう少しインタラクティブな感じが欲しかった一方で、次の時代の表現の予兆を感じさせてくれました。

※以下の写真は「クリエイティブ・コモンズ表示-非営利・改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

まずは吉岡徳仁の「スノー」
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風に舞う羽毛の動きや、その結果積み重なった姿…それらは空気の流れと重力という摂理で決定されるわけで、アートでありながら作家本人が造形に直接介入しないアート。

そして栗林 隆の「インゼルン」
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堆く積まれた石の山の先端が実は世界地図の形になっている作品。

同じく栗林 隆「林のための林」
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グラスファイバーで作られた大地と森に潜り込み、穴から地表を眺めようとすると他の観覧者の顔が見えるという仕掛け。
いずれの作品も、事象の表と裏には、表層とそれを支える理(ことわり)という構造がある事を示唆している感じがします。

今回のお気に入り、篠田太郎「銀河」
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間接照明で照らされた水盆に天井から落とされた雫で波紋が広がる。とても身近で普遍的な現象を通じて自然の裏にある摂理を感じさせる作品。

同じく篠田太郎「忘却の模型」
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白い崖から赤い液体が流れ落ち、それが循環してまた崖から流れ落ちる。自然界の水循環と生物の体液の循環がオーバーラップしているイメージ。ちょっとエヴァっぽいけど、単純にヴィジュアルとして美しいと感じました。

今回の展示はすべてインスタレーションであって、なにかの道具ではない=デザインではないのですが、意図するところを伝えるべく企みを巡らすというアプローチはとてもデザイン的です。

おそらく今後どんな機器もコモディティ化がすすみ、それらのデザインはプレーンな方向へ収斂して行くと思います。しかしそれに飽き足らない人々は少なからずいるでしょう。
彼らの要求は、先日のポストフォッシル展や今回の展示のような、非工業的な表現に向けられるのではないでしょうか。その時、アートとデザインの境界は意味をなさないのかもしれません。
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