ボクスターが来てから1ヶ月くらいになりました。ぼちぼちインプレを書いていきたいと思います。
ただ、どうしても前車バルケッタとの比較になりがちなので、一般的なインプレとは違うかもしれません。なにせバルケッタはある雑誌で「見た目も60年代風なら、乗り味や車内騒音も60年代」と書かれたクルマですから(笑)まずは街乗り編から。
まず感じたのは、意外と静かだなあということです。ヨーヨーマのCDもよーく聴こえます。ミッドシップというのはもっとエンジン音が車内に入ってくるものと想像してたので、意外でした。
そしてガッチリ感ですね。部品がみっちり詰まった固い塊の中に自分が収まっている感じがします。バルケッタでは歩道の段差を越えて駐車場に入るときには「ギシギシ」と音がしますが、もちろんそんな音は皆無です。
ハンドリングは、街乗りの範囲ではクイックという感じではありません。タウンスピードでのクイック感ならバルケッタの方が上です。たとえば路駐してるクルマをよけるのも、手首の動きで「クイックイッ」と行けますが、ボクスターはそうはいきません。ステアリングレシオも普通なのではと感じました。
ここまで読むと「剛性が高い普通のクルマ」って感じですが、ほぼそう言って良いと思います。「ほぼ」と書いたのは、一点だけ明らかに違いを感じることができるからです。それはズバリ「重さを感じない」ということです。正確には「慣性モーメントを感じない」とも言えるでしょうか?下図のようなイメージです。
モーメントのイメージ
棒を振り回すとき、端を持つか、真ん中を持つか。スムースにかつ思い通りに回せるのは真ん中を持つ場合なのは容易に想像できます。
いわゆるよく言われるミッドシップの利点(Z軸の云々)なのですが、私はこれを「クイック=ちょっとステアリングを切ると、キュンと曲がる」と誤解していました。
ボクスターはステアリング操作に対して、タイムラグなく、スムースにクルマが向きを変えてくれます。まさに「棒の真ん中をもって回す」イメージで、「ちょっと切ったらキュンと曲がる」とは違います。もっと簡単に言えば「思い通りに曲がる」ということになります。
バルケッタは大きなモーメントをクイックなステアリングレシオで振り回す(棒の端を持った方が、小さな手の動きで棒の先端を大きく振り回せる)ので、「おークルマを振り回してるなあ=運転してるなあ」という実感が大きいのだと思います。ある意味「横丁の角を曲がるのも楽しい」クルマなのです。
というわけで、ボクスターは「静かで」「ガッチリしていて」「思い通りに曲がる」クルマ、というのが街乗りレベルのインプレになります。なんだやっぱりフツーじゃねえか、という気もしますが、「当たり前のことが当たり前にきちんとできている」クルマだとも言えるわけで、当たり前のこともできない=いい歳をしてろくに挨拶もできない私にとっては「ああすごいクルマだなあ」と思ってしまうわけです。
スポンサードリンク