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三島由紀夫には「ふんどしを締めたナルシストのホモ右翼」=気持ち悪いという先入観があり、食わず嫌いだったのですが、友達がFacebookであげていた感想から興味を持った「命売ります」と、借りた全集で一緒に収録されていた「複雑な彼」で初めて彼の作品を手に取りました。
(ひょとしたら「金閣寺」は読んだ気もするのですが、よく覚えていない)

まずは「複雑な彼」。読み始めるとすぐに「なんかこれ聞いた事ある話だなぁ…あ!『渋谷ホンキィトンク』だ!」。「渋谷ホンキィトンク」は作家の安部譲二が自らをモデルにして原作したマンガです。「複雑な彼」のモデルはやはり安部譲二で、主人公の名前からペンネームを取ったそうです。
簡単に言うと、世界のお洒落スポット(笑)を股にかけ、洗練されたマナーと立ち振る舞いで女性を魅了する主人公は、実は前科持ちだった…というお話で、文学作品というより、当時の女性の願望を具現化したような恋愛小説です。その願望自体が古臭くて時代を感じさせますが、モデルの安部譲二でなく、映画版で主人公を演じた田宮二郎でイメージすれば、すんなり楽しんで読めます。

「命売ります」は、一話完結的な短いエピソードの連続なのですが、その根底には一つの謎が流れていて、謎が謎を呼び、最後に全てが明らかになる、というお話しの構造は、「MOZU」とかにも似ていてTVドラマにしたら面白そうな作品でした。ただ、主人公のイメージがどうしてもナルシストでホモっぽい三島本人が頭に浮かぶのを振り払うのには苦労しましたが(笑)。

どちらの作品もあまり文学文学してません。「複雑な彼」は女性セブン、「命売ります」は週刊プレイボーイの連載だったそうで、三島作品の中では娯楽的な作品らしいです。だからでしょうか、主人公が映画を見ているようにイキイキとビジュアル化され、楽しく読めました。

印象的だったのは読後感。イージーに話に結末をつけない、読者を突き放すような印象で、そこは文学っぽいかな、と感じでしたね。

これからも食わず嫌いせず「大人の嗜み」にふさわしい作品は目を通しておこうと思います。







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