IMG_3408

初めて行ってきましたフジロック!
実は昨年、YMOが出ると聞いて「行こうかなあ」と思ったのですが…
フジロックと言えば、今や苗場のスキーバブル絶頂期の3連休に並ぶ動員数(言い換えれば現在のスキーシーズンを大きく凌ぐ人が集まる)を誇る大イベント。
夏の大イベントと言えば鈴鹿8時間耐久を思い出す40代男子としてはどうしても思い出すのです。
(1)飲み物、食べ物が高い。
(2)もちろん不味くて選択肢も無い。ホットドックと焼きそばが良い所。
(3)そのくせ大行列に並ばないと買えない。なのにすぐ売り切れ。
(5)ついでにトイレも大行列。
(6)だから腹が減っても喉が渇いても我慢。
(7)運良く買えても食う場所無し。
(8)もちろん往きも帰りも大混雑。
このような嫌な思い出が拭いきれず、どうしても踏み切れませんでした。

しかし、実際会場に足を運んでみると、これらはほとんど杞憂でした。トイレは大行列になることもありますが、演奏とのタイミングや大きなステージから遠いトイレを選べばさほどでもありませんでした。

特筆すべきは食べ物のバラエティ。ステーキ丼、鮎の塩焼き、トルコケパブ、本格的なピッツァ、インド料理まで多種多様な屋台が出ています。人気のお店には行列もありますが、行列を避けて買っても美味しいし、安い。
IMG_3410
画像手前に映っている「ナンステーキサンド」と「ナンフィッシュサンド」は1つ600円。並ばず買えるし味も本格的。夕飯に食べた同じお店のインド風ピラフもやはり600円で、ちゃんとインディカ米だし、タンドリーチキンだったし。最終日の夜になっても売り切れのお店ははごく僅かでした。
IMG_3422
ホワイトステージ前で買ったチャイティーもスパイシーで美味しかった。
IMG_3418
画像でも分かる通り、自分でイスや敷物をもっていけば食べる所には事欠きません。選択肢の豊かさ、価格、味、サービス…どれをとっても、スキーシーズン中の苗場は見習うべきですね。フジロックをきっかけに冬の苗場に来た人はきっとガッカリしますよ。

もちろん演奏も楽しみました。お目当ては井上陽水とエルビス・コステロです。両者ともフジロックの客層からするとどうなんだろう?と思っていたのですが、これもまた杞憂でした。
早い時間にグリーンステージで演奏していた若めのバンド(これがまたカッコいい演奏をしてるのですが)がステージ近く客席前方1/3での盛り上がりだったのに対し、客席全体を盛り上げたのはさすがでした。私は後方1/3くらいの所に座っていたのですが、私より後方のオーディエンスから拍手や手拍子が沸き上がっていましたし、ステージ正面は前方から2/3くらいまでがスタンディングだったほどです。
IMG_3415

グリーンステージ以外でもホワイトステージでたまたま聴いた「Dumpstaphunk」というアメリカのファンクバンドも良かったですね。ボーカルの人が曲によってはギターではなくベースを弾く、つまりツインベースになるのですが、これがまたカッコイイ!ファンクって別に新しいスタイル、ジャンルじゃないのに、新しいグループや曲が産まれていて、それが海をこえて受け入れられているって凄いことじゃないですか?

そして陽水やコステロのステージのように、その曲が産まれた時代を知らないはずの世代(私だって半分はそうです)が、それを越えて盛り上がれるっていうのも凄い事です。

新しいスタイルが産まれるのが進歩なら、その中で新しく良い物が産まれるのが成熟。
新しいか古いかではなく、良いか悪いか、好きか嫌いかで判断されるのが成熟。

私たちは、戦後を出発点とした変化に富んだ時代を見てきたから、時代が進むこと=新しいことに価値がある、と思ってきたけど、これからはそうじゃないのかも。

日本なら平安、室町、江戸時代、欧州なら古代ギリシャ、ローマや中世のように、一見すると変化が無いようにみえて、その中で文化が爛熟、成熟する、そういう時代の入り口に立っているのかもしれません。

フジロックに集まる人々のファッションを観察しても、70年代のヒッピーのような女の子もいれば、80年代リバイバルの刈り上げ君もあり、はたまたショーツの下にワコールの高機能タイツなんていう今風もあって、新しい物も古い物もフラットなんですね。

配信が主流になって持ち直していた音楽のセールスが、また落ち込んできているそうです。でも新曲だけが音楽じゃないわけで、新曲がチャートの上位を占めていた今までが異常だったんじゃないでしょうか。
今売れている曲のランキングでなく、今聴かれている曲のランキングが発表され、それによってアーティストが評価される時代が来ると感じました(iTunesの再生履歴を集めているAppleなら出来るはず)。

21世紀以降が持続可能な時代なら、現代は長く続く成熟した時代の始まりであって、戦後の変化と進化に富んだ時代は、カンブリア紀に起きた種の爆発のような、その偉大なるプロローグであったと言えるでしょう。その最後に立ち会えた私たちは幸運な世代なのかもしれません。
スポンサードリンク