だいぶ前に読み終わっていたのですが、下書き放置状態でした。言わずと知れた映画「ブレードランナー」の原作です。このブログの前身のサイトの名前はこのタイトルをもじってつけました。

この小説の世界観や設定、そしてなにより、人間と見分けのつかないアンドロイドという道具立てを使って、人間を人間たらしめている物は何か?を問いかけるという主題は映画に引き継がれています。しかしながらその読後感は映画とは全く結びつきません。ビジュアルイメージが全く違う(映画のような暗くてジメジメした東洋的な街の描写はありません)しストーリーもかなり違います。また映画には登場しない未来の宗教が重要な位置を占めていたりもします。

ストーリーは面白く、主題は示唆に富み、SF的なアイデアもありますが、この小説をストレートに映像化したとして「ブレードランナー」のような傑作になるか?というと疑問です。つまり「ブレードランナー」の魅力は監督であるリドリー・スコットや、脚本、シド・ミードのビジュアル、俳優陣の個性が生み出しており、そこに「ブレードランナー」のオリジナリティがある、と言えるでしょう。極端なことを言えば、この小説を下敷きにしたまったく別の作品といえる?とはいえ、アンドロイドを刑事が狩る、という骨格は他になく、勝手に映画をつくったら批判は免れないでしょう。

一方で、「マトリックス」や「攻殻機動隊」は「ニューロマンサー」やこの小説と、道具立てや世界観の一つ一つのアイデアを同じくしながらも、問いかけてくる主題は異なるし、

要は体験が新しければ良い。いままでにない体験があればよい。
そのままでなく自分成りの解釈があればいい。
新しい価値があればいい。

道具が同じでも、骨格が新しかったり、過去に例がなければ、別作品とは言えない。


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