妻の誕生日のお祝い、ということで、トシヨロイヅカのサロンでデセールをいただきつつ、待ち時間に21-21 DESIGN SIGHTで開催された「 倉俣史朗とエットーレ・ソットサス展」を観てきました。

倉俣史朗は70年代から90年代の初めにかけて活躍したデザイナーです。とくに晩年期は、80年代のポストモダンの流れを日本で具現化した人ことで知られています。その頃私はバリバリのデザイン学生でしたから、もちろん彼のデザインに心酔…してませんでした。

いまや「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」や「ミス・ブランチ」などの名作椅子、はたまたアクリルを使った花瓶などプロダクトデザインの分野でも再評価されていますが、当時は都会のオシャレスポットを手がけるインテリアデザイナーとして位置づけられていたと思います。私はガチガチのプロダクト(量産)デザイン志望のだったので、興味が無かったと言うか、一品製作に近く、また実用的でない彼のデザインはあまり好きではなかったと言うか眼中に無かったというか…

いまや、無印良品が地方都市までに広がり、郊外のアウトレットモールにはFrancfrancが必ず出店されているなど、別に都会のオシャレスポットでなくても「いいデザイン」がありふれた時代になりました。永年「実用的で、美しい生活を大衆に」を目指してきたデザイン界にとって、この状況は一つの到達点であると同時に行き詰まりであると思います。だからこそ私は、彼のような実用や量産から離れたデザイナーに心惹かれるのかも知れません。

そう感じるのは私だけでないらしく、倉俣やソットサスに代表されるポストモダンの再評価や、先日やはり21-21 DESIGN SIGHTで開催された「ポスト・フォッシル展」など、「量産可能で実用的」の次のパラダイムへの期待や胎動は確実に始まっているようです。

しかし彼のような空間デザイナーを起用して贅沢な空間作りをしてきた百貨店や有名ブランドは、「いいデザイン」が一般化するのに反比例するように苦境に立たされています。

こんな時代に倉俣が生きていたとしても、彼がどんな仕事をするのか、正直全く想像がつきません。
そう言う意味では彼は良いときに死んだのかも知れないですが、誰もが身の丈の中で美しく暮らせる現代は成熟したとも言えるし、つまらなくなったとも言えるでしょう。

ファッションの世界でも「エレガント・モテから凛としたシャープでマニッシュなものへ」という転換が起きつつあるというレポートもあります。八方美人的な均質性から、エッジの効いたオシャレへとシフトしているのでしょう。
倉俣やソットサスが活躍したあの時代の気分に回帰しつつあるのかもしれません。
 

さて、そんなエッジの効いたパティスリー、トシヨロイヅカのサロンでいただいたのは…

まずは「浮島」
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温かい餡子の中に、抹茶の焼き菓子が浮いていて、その上に練乳アイスが乗ってます。餡子がコクがあって濃いんです。甘いと言うより濃い餡子と練乳アイスが口の中で織りなすドラマ!

そして「ビスキュイ クーラント ショコラ 柚子」
写真 1
ビスキュイの中から熱々のショコラが流れ出し、柚子のアイスと一緒にいただくと、これまた口の中で名作ドラマが…チョコと柑橘の組み合わせは鉄板ですが、鉄板と片付けられない美味しさです。

倉俣史朗、エットーレ・ソットサスそして鎧塚俊彦…偉大な才能を目と舌で堪能した一日でした。
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