半蔵門あたり

秋も深まり、たまには季節感あふれる日本画なぞ…ということで、山種美術館で開催された川合玉堂展に行ってきました。
山種美術館、初めて行ったのですが、日本画専門のこじんまりとした美術館でした。じっくり観るにはこれくらいが良いかもしれません。

好きだなぁと思ったのは、「残照」と「高原入冬」。いずれもうっすらと雪に覆われた初冬の山ボリューム感を少ない線で、しかしリアルに描き出していて、スキーヤー的には「ああ、いいなあ、山は」と引き込まれる絵でした。自然の中に分け入ったときの、静かなんだけど、無音ではない静寂が聞こえてくるようでした。

「渓雨紅樹」は、掛樋を流れる水の量感がシンプルな線から伝わってきて、描かれていないはずの水の透明感や冷たさ、水面に映る木漏れ日が遠い記憶から呼び起こされてくるようでした。

絵の前で思わず唸ってしまったのは「虎」。幅広い刷毛のひと塗りで、虎の後ろ足の力強さが表現されてるのがスゴイ。

見たことはないはずなのに、どこかで見たような気がする懐かしい風景に出会える。生まれ育った国の絵画ならではの醍醐味をじっくり味わった秋の午後でした。
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