※新型981ボクスターのヘッドライト交換についての新しいエントリーはこちらです。

986型ボクスターといえば同時期の996型911と並んで「涙目ヘッドライト」が特徴です。
涙目
ヘッドライトの形が両脇から中央へ向かって「涙がにじむような」形になっているから「涙目」と言われるのだと思います。これ以前のポルシェは、カエルのような丸目のヘッドライトが代名詞だったわけですが…
911
なぜ子供でも知っているほどのデザイン・アイデンティティを捨てて、「涙目」を採用したのでしょうか?

このヘッドライト、簡単に取り外すことが出来ます(詳しくは後述)
ヘッドライトユニット
このヘッドライトユニットの中に、なんと全ての灯火類(ハイビーム、ロービーム、車幅灯、ウインカー、フォグランプ)が含まれています。なるほど、丸目のままではそれは無理ですね。メーカーは電装品メーカーのBOSCH。日本の小糸製作所製のユニットもあるそうです。つまり…
(1)ポルシェはBOSCHと小糸の2社に同じユニットを発注し、競合させることで仕入れ価格を引き下げる。
(2)同じユニットを911とボクスターに使用することで、発注数量を増やし、仕入れ価格をさらに引き下げる。
(3)人件費の高いポルシェの工場では、1つのユニットを車体に組み付けるだけで済む。ヘッドライト、ウインカー、フォグランプ各々を組み付けていた従来の丸目デザインに対して、組み立て工賃が1/3に出来る。
という大きなコストダウンが可能なのです。倒産寸前と言われていた当時のポルシェにとっては、たとえアイデンティティを失うとしても「背に腹は代えられない」選択だったのでしょう。

かくて製造原価の引き下げたポルシェは、ボクスターでは低価格を、911では粗利率のアップを実現し、経営の立て直しに成功しました。故に現在生産されているボクスターと911のヘッドライトは涙目ではない別々デザインになりました。ボクスターと911では価格は2倍ちかい差がありますし、新規車種と基幹車種という役割の違いもあるので、妥当なデザイン戦略です。
でも涙目には丸目にない新しさがあるので、ボクスターは涙目でも良かったのでは、と思います。

それでは本題の車幅灯の交換手順をご紹介します。
ヘッドライトにはフロントトランクからアクセスします。
ステップ01
内装を外すと、ゴムのキャップが現れるます。(矢印)
ステップ02
これをえい!と外します。
ステップ03
ステップ04
あいた穴に車載工具のレンチを差し込みます。
ステップ05
レンチを半時計回りに180度まわすと、ヘッドライトユニットが浮きます(矢印)。
ステップ06
すこし引き出して、コネクター(矢印)を外します(HIDランプ装着車のみ)。
ステップ07
これでヘッドライトユニットは外せます。ちょっとどっきりする映像。
ステップ08
ユニットをひっくり返して、矢印のフックをはずすと、フタが開きます。
ステップ09
ステップ10
矢印が車幅灯。
ステップ11
これを引き抜くと電球にアクセスできます。が、ここで問題発生。店頭においてあるBOSCHの適合表に従ってバルブを買ったのですが、これが間違い。左が適合表に乗っている「W5W」、右が正しい「H6W」
電球
といわけで、BOSCHの適合表は間違っているので要注意です。また、同じ「H6W」でも国産車用はガラスの部分が大きくて装着できません。下の画像のような円筒形の物を選んで下さい。パッケージに「輸入車用」と書いてあります。
電球
元に戻すのは逆の手順になります。最期にレンチを外すのですが、まっすぐ引き抜こうとしても外れません。レンチを時計回りに回してユニットをロックして、さらに回すと「バキッ」という音ともにレンチが外れます。ちょっとビックリしますが、これが正解のようです。
ステップ12
各灯火類が正しく点灯するか確認して作業終了です。
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