春のめざめ
ロシアのアニメーション監督、アレクサンドル・ペトロフの「春のめざめ」を観てきました。

この作品のユニークな所は、その技法。油彩画が動くのです。似たような技法のアニメに教育テレビで放送していた「うっかりペネロペ」(これも面白かった)がありますが、決定的な違いがあります。原画の油彩画を1カット撮影する毎に、生乾きの油絵の具を指先で少しづつ動かしてアニメーションにするのです。クレイアニメ(粘土の人形を少しづつ動かして撮影し、アニメにする技法。ピングーとか)の2次元版、と言えばわかりやすいでしょうか。従って、原画は1シーンに1枚。一番始めに描かれた絵は失われ、最後のカットのみが残ることになります。一枚一枚のセルに油彩画を描いているのではないわけです。

ストーリーは思春期の少年の初恋とその残酷な結末なのですが、柔らかくブレながら動いていく絵と、登場人物の気持ちの移ろいがなんともマッチしていて、とても美しい映画に仕上がっています。技法の斬新さや色彩の美しさに目が行きがちですが、物語の主題がそれに適した技法で表現されていることの素晴らしさと、だからこそ心に残るものがあると思います。30分くらいの短編ですがかなり見応えがあり、おススメです。
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